福島の日本酒おすすめ5選 — 「穏やかで重すぎない」県の傾向をデータで確かめる

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福島は当サイトの収録銘柄数が新潟・長野に次ぐ3番目の県ですが、「新潟=淡麗辛口」のような分かりやすいイメージがあるわけではありません。棚の前で1本を選ぶときに知りたいのは、福島の酒がどちらを向いた味なのかです。

そこで、当サイトが利用しているさけのわデータの6軸フレーバーベクトル(華やか・芳醇・重厚・穏やか・ドライ・軽快)で、収録している福島県の77銘柄を集計してみました。

データで見る福島の県平均

福島県77銘柄の平均値を、収録1346銘柄の全国平均と並べます。

福島平均 全国平均
華やか 0.353 0.339 +0.015
芳醇 0.527 0.535 -0.008
重厚 0.298 0.328 -0.030
穏やか 0.426 0.393 +0.033
ドライ 0.296 0.310 -0.014
軽快 0.433 0.422 +0.011

差が大きいのは**穏やか(+0.033)と重厚(-0.030)**の2軸です。穏やか平均で見た都道府県順位(収録10銘柄以上の40都道府県)で福島は4位、逆に重厚平均では32位。県内77銘柄のうち67.5%が重厚で全国平均を下回り、穏やか0.48以上(全国では上位16.4%に当たる水準)の銘柄が22本もあります。

つまり福島の傾向は「辛口か甘口か」ではなく、角が立たず、どっしり感を出しすぎないという方向にあります。辛口・甘口の軸で言えばドライ平均は全国21位とほぼ真ん中で、県として偏ってはいません。

ただし県内のばらつきは相応にあり、ドライ値は0.021〜0.695、芳醇値は0.186〜0.663と全国並みの幅があります。以下では、さけのわランキング入りしている福島の人気銘柄から、6軸の形が互いに重ならない5本を選びました。順番はランキング順です。

1. 冩楽(宮泉銘醸)|旨味はあるのにキレを主張しない

芳醇0.618は全体の上位11%。それでいてドライ0.217は下位18%、重厚0.244も下位21%です。華やか0.436は上位19%。

旨味の密度は高いのに、キレでもどっしり感でも押してこないという組み合わせで、県平均の「穏やか寄り・重厚低め」をそのまま濃くしたような数値です。味の輪郭を立たせるより、料理と一緒に厚みが乗る方向。今回の5本の中では最も芳醇値が高く、単体でゆっくり飲んでも間が持つ形をしています。

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2. 飛露喜(廣木酒造本店)|今回の5本で唯一の「キレる穏やか」

穏やか0.480は上位16%、ドライ0.322は全体平均(0.310)をわずかに上回る41.9%の位置。華やか0.369、芳醇0.533、軽快0.409はいずれもほぼ全体平均です。

数値の形としてはどの軸にも極端がなく、穏やかさだけが一段高いバランス型。今回の5本のうちドライが平均を上回るのはこの1本だけで、残り4本はいずれも下位20〜25%に沈みます。福島の県平均に最も近い1本を選ぶならこれで、和食全般に幅広く合わせやすい位置にあります。

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3. 楽器正宗(大木代吉本店)|香りが立って、とにかく軽い

華やか0.508は上位6%、軽快0.563も上位7%。一方で重厚0.159は下位2.7%、穏やか0.260も下位8.2%です。

香りは前に出るのに厚みも落ち着きもほとんど残らないという、今回の5本で最も極端なプロフィール。県平均が穏やか寄りなのに対して、この銘柄だけは穏やかが下位1割という逆方向を向いています。他の4本との6軸コサイン類似度も0.93〜0.99と、5本の中で最も離れた位置にありました。日本酒=重くて飲みにくい、という先入観がある人に最初に渡すならこの形です。

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4. 廣戸川(松崎酒造店)|穏やかさが全体の上位8%

穏やか0.517は上位8.3%で、今回の5本で最高値。ドライ0.200は下位13%、華やか0.347はほぼ全体平均、芳醇0.564は上位37%です。

キレも香りも主張せず、落ち着きだけが際立つ形。福島の県平均をさらに一歩進めた数値と言えます。飛露喜と方向は近いものの、ドライが0.322対0.200と大きく違うので、飲み終わりのキレを求めるかどうかで選び分けられます。出汁を効かせた煮物のように、味の押しが強くない料理と重ねやすいタイプです。

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5. 天明(曙酒造)|華やかさと軽さを両立させた中間型

華やか0.448は上位16%、軽快0.507も上位19%。重厚0.266は下位30%、ドライ0.237は下位23%、穏やか0.347は下位29%です。

楽器正宗と同じ「華やか+軽快」の方向ですが、重厚0.266・芳醇0.542と厚みが残っている分だけ角度が緩やかで、香りと軽さを取りながら中身が薄くならない位置に収まっています。楽器正宗が振り切りすぎに感じる人にとっては、こちらが着地点になります。

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甘旨系・辛口系をもう少し探すなら

上の5本と別の方向を試したいときの候補も、データから挙げておきます。

甘旨・どっしり方向なら、大七(大七酒造・芳醇0.654/重厚0.475/軽快0.272)、自然酒(仁井田本家・芳醇0.663/ドライ0.111)、京の華(辰泉酒造・重厚0.574/軽快0.261)。いずれも芳醇か重厚が全体の上位1割前後で、福島の県平均とは正反対の重心を持っています。

しっかり辛口が欲しいなら、永寳屋(鶴乃江酒造・ドライ0.695)、金澤屋(喜多の華酒造場・ドライ0.674)が全体の上位1%に入る高さです。ただしどちらも芳醇が0.36台と下位3%で、旨味の厚みは薄い方向。キレを最優先する人向けの数値です。

なお人気上位のロ万(花泉酒造・華やか0.447/穏やか0.468/ドライ0.196)は今回の5本と6軸の形が近く、冩楽との類似度は0.994、廣戸川とも0.991でした。この3本は別の日に1本ずつ飲むより、同じ日に少量ずつ比べたほうが違いが分かります。

福島の酒の選び方

福島は県として「穏やかで重すぎない」方向にそろっている一方、辛口・甘口の軸では偏っていません。だから福島の棚で迷ったときは、まず自分が香りを求めるのか、キレを求めるのかを決めるのが早道です。

今回の5本でいえば、香りなら楽器正宗・天明、キレなら飛露喜、落ち着きなら廣戸川、旨味なら冩楽。同じ県の酒でも行き先はこれだけ分かれます。

自分がどの軸に寄っているか分からない場合は、1分の日本酒診断で確かめてから選ぶと、棚の前で迷う時間がぐっと減ります。