鍋料理に合う日本酒5選 — 出汁を消さない「穏やか」な銘柄を鍋の種類別に
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鍋料理と日本酒は相性の良い組み合わせですが、「鍋なら何でも合う」わけではありません。鍋の正体は出汁であり、出汁は繊細です。香りの主張が強い酒を合わせると、湯気とともに立ち上る吟醸香が出汁の香りとぶつかってしまいます。
鍋に合わせる日本酒を選ぶときのポイントは3つです。
- 香りが穏やかであること(穏やか・華やかが控えめ) — 温かい料理は香りが立ちやすいので、酒の香りは引き算で考える
- 旨味があること(芳醇) — 出汁の旨味と同じ方向を向いた酒は、互いを押し上げる
- 鍋の味付けに強さを合わせること — 味噌やもつ鍋のような濃い鍋にはドライさや重さ、湯豆腐のような淡い鍋には軽さ
当サイトが利用しているさけのわデータの飲用レビュー(華やか・芳醇・重厚・穏やか・ドライ・軽快の6軸)から、鍋の種類ごとに合う人気銘柄を5つ選びました。
1. 寄せ鍋・水炊きに — 勝駒(富山県・清都酒造場)
「穏やか」の値がさけのわランキング100銘柄のなかで最も高い銘柄です(全収録1346銘柄でも上位5%)。華やかの値はランキング100銘柄では低いほうから15%ほどで、香りが出しゃばりません。6軸のうち2番目に高いのが芳醇なので、穏やかなだけで痩せてもいない。鶏や昆布のあっさりした出汁を主役のまま立たせつつ、酒だけが浮かない、鍋の万能型と言える1本です。まず1本選ぶならこれ。
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2. 味噌鍋・豆乳鍋に — 廣戸川(福島県・松崎酒造店)
穏やかの値は勝駒に次ぐランキング2位。加えて芳醇の値も高く、逆に「ドライ」は低め(ランキング100銘柄では低いほうから2割弱)という、まろやかで旨味の厚いタイプです。キレで流すのではなく旨味で受け止める性格なので、味噌や豆乳のようなコクのある鍋つゆに寄り添います。ぬる燗にすると穏やかさがさらに前に出ます。
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3. もつ鍋・キムチ鍋に — 一ノ蔵(宮城県・一ノ蔵)
今回の5本のなかで「ドライ」の値が最も高く、ランキング100銘柄でも上位1割に入ります。それでいて6軸で最も高いのは芳醇で、キレだけが立った酒ではありません。もつの脂やニンニク・唐辛子の効いた濃い鍋つゆをすっと流しながら、旨味では負けない。脂と辛味のある鍋にはこの性格が向きます。
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4. 海鮮鍋・牡蠣鍋に — 賀茂金秀(広島県・金光酒造)
「軽快」の値が全収録銘柄の上位6%、対して「重厚」は下位1割という、軽さに振り切ったタイプ。ドライの値も高めで後口が残りません。牡蠣で知られる広島の酒らしく、魚介の磯の風味や貝の出汁を重い酒で塗りつぶさずに済みます。鱈ちりのような淡白な海鮮鍋にも、牡蠣の濃厚さにも対応できるバランスです。
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5. 湯豆腐・淡い鍋に — 田中六五(福岡県・白糸酒造)
穏やか(ランキング100銘柄で5番目に高い)と軽快(全体上位17%)の両方が高く、重厚も芳醇も控えめ。香りでも重さでも旨味でも主張せず、代わりに穏やかさと軽さだけが際立つ「引き算」の性格です。湯豆腐やせり鍋のように素材の味だけで食べる鍋では、この軽さがちょうどよく効きます。水炊き文化の福岡の酒でもあり、出汁の繊細さを最後まで邪魔しません。
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鍋の日は「温度」も合わせる
鍋は料理そのものが温かいので、キンキンに冷えた酒だと口の中の温度差が大きく、料理も酒も味がぼやけます。常温から人肌燗くらいに寄せると、今回挙げたような穏やか・芳醇タイプは旨味がふくらんで鍋とよく馴染みます。逆に、もつ鍋やキムチ鍋のように脂と辛味が強い鍋では、冷やしてキレを立たせたほうが進みます。
自分の好みが穏やか寄りか、キレ重視かは1分の日本酒診断でわかります。鍋の季節に常備する1本を選ぶ前に、一度確かめてみてください。