長野のフルーティーな日本酒5選 — 「華やか」上位25%が全国最多の33銘柄

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日本酒でフルーティーな1本を探すとき、産地から入る人はあまり多くありません。ただ、当サイトが利用しているさけのわデータで見ると、香りの立つ銘柄が集まっている県ははっきりしていて、その筆頭が長野です。

収録1346銘柄の「華やか」値で上位25%の境界は0.414。長野県の93銘柄のうち、これを超えるのは33銘柄で、都道府県別では最多です(2位は新潟県の20、3位は山形県の18)。

長野は「華やかの本数」が全国一、でも県全体が華やかなわけではない

長野県93銘柄の平均値を全国平均と並べます。

長野平均 全国平均
華やか 0.380 0.339 +0.041
芳醇 0.538 0.535 +0.003
重厚 0.294 0.328 -0.034
穏やか 0.379 0.393 -0.014
ドライ 0.317 0.310 +0.007
軽快 0.441 0.422 +0.019

華やかが全国平均を上回り、重厚が下回るという、香り系に寄った並びではあります。ただし華やかの県平均で見ると長野は収録10銘柄以上の40都道府県中8位で、長崎(0.407)・山口(0.405)・群馬(0.398)のほうが上です。上位25%に入る銘柄の比率でも35%(33/93)で10位。50%の群馬や57%の山口には届きません。

一方で本数は違います。全国の華やか上位50銘柄のうち4本、上位100銘柄のうち7本が長野で、どちらも都道府県別トップタイ。県内の華やか値は0.178から0.678まで広がっていて、下は全体下位1割にも入ります。

つまり長野は、県全体が華やかなのではなく、華やかな銘柄の絶対数が多い県です。「長野だからフルーティー」は成立しませんが、「フルーティーを探すなら長野の棚は選択肢が多い」は成立します。

そこで33銘柄を6軸フレーバーベクトルで比べ、互いのコサイン類似度がなるべく低くなるように(=香りの出方と、それに組み合わさる味の方向が重ならないように)5本を選びました。蔵は重複させていません。並び順は華やか値の高い順です。

1. 積善(西飯田酒造店)|華やか全国8位、重厚は下位3%

華やか0.636は収録1346銘柄中全国8位(上位1%)。長野県内では2位です。

同時に重厚0.163が下位3%、芳醇0.451も下位11%。香りだけが突出して高く、旨味の厚みもどっしり感もほとんど数値が出ていないという形になります。ドライ0.256は下位31%、軽快0.417はほぼ全体平均どおりです。

香りを主役にして、味の要素は極力そぎ落とした側のプロフィール。日本酒に果実のような香りを期待して裏切られてきた人には、まずこの数値帯が向きます。逆に、飲みごたえを求める人とはまっすぐ逆方向です。

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2. Beau Michelle(伴野酒造)|香りが高く、キレも落ち着きもない

華やか0.573は全国25位(上位2%)。ここに軽快0.626(上位2%)が乗ります。

特徴的なのは低いほうの数値で、穏やか0.171は下位2%、ドライ0.138も下位4%、芳醇0.426が下位6%です。香りが強く、軽く、そのうえキレも丸みも主張しないという、今回の5本で最も極端な数値の並びになります。今回の10ペア中で最も類似度が低かったのも、この銘柄とソガペール エ フィスの組み合わせ(0.893)でした。

キレで飲ませるタイプではないので、食事に寄り添わせるより、冷やして単体で香りを楽しむ方向に数値が向いています。

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3. 信州亀齢(岡崎酒造)|長野の人気筆頭、香りと軽さの両立型

さけのわランキング16位。長野県で最上位の人気銘柄です。

華やか0.492は上位8%、軽快0.539も上位11%。対して重厚0.222は下位15%、穏やか0.309は下位17%。芳醇0.504とドライ0.262は全国平均をやや下回る位置です。香りが立って口当たりが軽く、重さと丸みを削っているという形で、今回の5本のなかでは尖りすぎない中間的なバランスをしています。

長野で華やか上位25%かつ軽快上位25%に入る銘柄は33本中17本あり、これが県内の主流の形です。信州亀齢はその主流のなかで最も人気が高い1本、という位置づけになります。最初の基準点として使いやすい数値です。

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4. 香月(大信州酒造)|香りに旨味が乗る、食中向きの数値

華やか0.441は上位18%と、今回の5本では控えめな位置。代わりに芳醇0.627が**上位8%**まで来ます。

重厚0.179は下位5%、軽快0.393は下位36%、穏やか0.408はほぼ全体平均。旨味の厚みははっきりあるのに、どっしり感はないという組み合わせで、フルーティーな酒にありがちな「香りだけで中身が軽い」形とは違う方向です。積善との類似度は0.964ですが、芳醇で0.18、華やかで0.20の差があり、飲んだときの印象は分かれます。

香りを残したまま食事と合わせたいとき、5本のなかではこの数値が最も食中に向きます。

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5. ソガペール エ フィス(小布施ワイナリー)|華やかで、しかも重い

さけのわランキング82位。華やか0.434(上位19%)に、重厚0.422(上位17%)が組み合わさります。

華やかと重厚がそろって上位25%に入る銘柄は多くありません。芳醇0.618も上位11%、対して軽快0.325は下位15%、ドライ0.193は下位12%です。香りが立ち、旨味とコクがあり、軽さとキレは出さないという形で、今回の5本で唯一「フルーティー=軽い」の等式から外れます。

Beau Michelleとの類似度0.893は5本の全10ペア中で最も低い値でした。同じ「長野のフルーティー」でここまで離れます。飲み進める酒というより、一杯をゆっくり置いておく方向の数値です。

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もっと香りの強い方向に振りたいなら

華やか値だけを追うなら、長野の上位はこの並びです。いずれも全国100位以内に入ります。

銘柄 華やか 芳醇 軽快
せきぜん 0.678 0.413 0.445
積善 0.636 0.451 0.417
茜さす 0.581 0.564 0.459
Beau Michelle 0.573 0.426 0.626
つきよしの 0.524 0.525 0.445
岩清水 0.516 0.472 0.461

せきぜんの0.678は全国2位で、1位(神奈川県の亮・0.765)に次ぐ数値です。ただし華やかが近くても芳醇は0.413から0.564まで開くので、華やか値が近い銘柄同士を比べるときは、芳醇軸を第二の物差しにすると方向を取り違えにくくなります。

長野でフルーティーを選ぶときの物差し

長野の強みは平均値ではなく本数です。華やか上位25%の33本のなかだけでも、今回の5本のように重厚0.163から0.422まで、軽快0.325から0.626まで散らばります。

同じ「フルーティー」でも、香りだけを立たせたいのか、軽さも欲しいのか、旨味やコクも一緒に欲しいのか——先にそこを決めたほうが確実です。冷やして飲む前提で選びたい場合は夏に飲みたい冷酒向け日本酒5選も参考になります。

自分がどの軸に寄っているかは、1分の日本酒診断で確かめられます。