焼き鳥に合う日本酒5選 — 塩・タレ・部位で変える「合わせ方」

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焼き鳥に日本酒、という組み合わせに外れはなさそうに思えますが、実際に串を何本か食べ進めると同じ酒でも合う串と合わない串がはっきり分かれます。塩のささみとタレのつくねでは、口に残る味の濃さも脂の量もまったく別物だからです。

焼き鳥に合わせる日本酒を選ぶときの考え方はシンプルで、次の3つです。

  • 塩なら引き算、タレなら足し算 — 塩は素材の味だけなのでキレのある酒、タレは甘辛いので旨味のある酒
  • 脂の多い部位には「軽さ」か「キレ」 — 皮や手羽の脂は、重い酒を合わせると口の中に脂と旨味が二重に残る
  • 内臓系には旨味の厚さ — レバーや砂肝の鉄っぽさ・苦味は、コクのある酒が受け止める

当サイトが利用しているさけのわデータの飲用レビュー(華やか・芳醇・重厚・穏やか・ドライ・軽快の6軸)から、焼き鳥のシーン別に人気銘柄を5つ選びました。5本のうち最も味の方向が離れているのは3番の陸奥八仙と4番の天狗舞で、同じ焼き鳥でも部位でここまで振り幅があるという目安になります。

1. 塩の串(ねぎま・ささみ・せせり)に — 春鹿(奈良県・今西清兵衛商店)

「ドライ」の値が全収録1346銘柄のなかで上位6%、さけのわランキング100銘柄では4番目に高いという、キレに振り切ったタイプです。しかも6軸で最も高いのがドライで、華やかはランキング100銘柄のなかで低いほうから13番目。香りで主張せず後口を残さない性格なので、塩と鶏の味だけで食べるささみやせせりの繊細さを消しません。6軸のなかでドライに次いで高いのが芳醇なので、キレるだけで痩せてもいない。塩の串をきれいに食べ切りたいときの1本です。

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2. タレの串(もも・つくね)に — 七田(佐賀県・天山酒造)

6軸で最も高いのが芳醇(ランキング100銘柄で18番目)、逆にドライは低いほうから数えたほうが早い位置です。つまり、キレで流すのではなく甘みと旨味で受け止めるタイプ。醤油と味醂の甘辛いタレは、キレだけの酒を合わせると酒のほうが負けて味が消えてしまいます。旨味の厚みで正面から受けるこの性格なら、タレの甘辛さと張り合えます。重厚の値は全体平均を下回り、軽快のほうが高いくらいなので、タレの串を続けても口が重くならないのも利点です。

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3. 脂の多い串(皮・手羽・豚バラ)に — 陸奥八仙(青森県・八戸酒造)

「軽快」が全収録銘柄の上位13%と高く、対して「重厚」は下位8%。6軸のなかで重厚が最も低いという、軽さに全振りした構成です。加えてドライもランキング100銘柄で14番目と高め。脂の多い串は、酒に重さがあると脂と旨味が口の中に二重に残って一気に食べ疲れますが、軽快とドライの両方が立ったこのタイプは脂を流してくれます。華やかも全体上位9%と高いので、冷やしてワイングラスで合わせると香りが脂の後にリセットとして効きます。

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4. 内臓系(レバー・砂肝・ハツ)に — 天狗舞(石川県・車多酒造)

芳醇が全体上位13%、重厚が全体上位7%(ランキング100銘柄では4番目)という、今回の5本で最もどっしりした1本です。一方で華やかと軽快はランキング100銘柄のなかで下から4番目。香りも軽さも捨てて旨味と重さだけを積んだ構成で、レバーの鉄っぽさや砂肝のクセといった、強い個性のある部位に対しても酒が押し負けません。この手のタイプは温度を上げると旨味がふくらむので、ぬる燗にしてレバーと合わせるのもおすすめです。

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5. 塩もタレも1本で通すなら — 浦霞(宮城県・佐浦)

「穏やか」が全体上位15%、ランキング100銘柄では6番目に高い銘柄です。芳醇はランキング100銘柄のなかでちょうど中位、ドライは19番目とそこそこ効いていて、華やかと重厚はどちらも全体平均を下回ります。突き抜けているのは穏やかだけで、あとは旨味もキレも過不足なく並ぶ構成なので、塩からタレへ、ささみから皮へと味が変わり続ける焼き鳥屋のコースでも1本で通せます。「串ごとに酒を変えるのは面倒」という人はこれを頼んでおけば間違いが少ないタイプです。

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順番は「塩 → タレ」、酒も同じ順で

焼き鳥屋で塩から頼むのが定石なのは、タレの甘辛さが口に残ると塩の繊細な味がわからなくなるからです。日本酒も同じで、先に芳醇で甘みのあるタイプを飲んでしまうと、後からキレのある酒を飲んでも薄く感じます。2本以上頼むならキレのあるタイプ(1・3番)から、旨味の厚いタイプ(2・4番)へという順番にすると、どちらの良さも損なわれません。

温度は、脂の多い串には冷やしてキレを立たせ、レバーやつくねのような濃い串では常温〜ぬる燗にすると旨味が寄り添います。

自分の好みがキレ重視なのか旨味重視なのかは1分の日本酒診断でわかります。次に焼き鳥屋へ行く前に、一度確かめてみてください。