AKABU(赤武)が好きな人におすすめの似ている日本酒5選 — フレーバーデータで探す「次の1本」
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AKABU(赤武)を気に入ったあと、次の1本を「軽くて飲みやすい酒」で探すと、たいてい物足りないほうに外します。すいすい飲める酒はたしかに見つかるのですが、そのほとんどは香りが立たないか、旨味が薄くて水っぽい。AKABUの「軽いのに香りはしっかり立って、口のなかには意外と味が残る」という感じとは、方向がずれた酒に当たりがちです。
そこでこの記事では、当サイトが利用しているさけのわデータの6軸フレーバーベクトル(華やか・芳醇・重厚・穏やか・ドライ・軽快)を使い、AKABUとベクトルの向きが近い銘柄をコサイン類似度で計算して選びました。飲んだ人のレビューから算出された数値なので、イメージではなく実際の味の傾向にもとづく比較になります。
まず、AKABUはどういう味のプロフィールなのか
AKABU(岩手県・赤武酒造)のフレーバー値と、収録1346銘柄のなかでの位置は次の通りです。
- 軽快 0.575(全体平均0.422)— 上位5%に入る身軽さ
- 華やか 0.482(同0.339)— 上位10%
- 重厚 0.203(同0.328)— 下位9%の軽さ
- 穏やか 0.307(同0.393)— 下位17%
- ドライ 0.230(同0.310)— 下位22%
- 芳醇 0.498(同0.535)— 下位26%
形を言葉にすると、軽快と華やかの2軸だけが突き抜けて高く、重さもおとなしさもキレも低い。輪郭のはっきりした、香りのある軽い酒という座標です。
面白いのは芳醇0.498の扱いです。軽快0.55以上の銘柄は収録中130本ありますが、その130本の平均芳醇は0.449しかありません。身軽な酒ほど旨味が痩せるのが全体の傾向で、軽快と芳醇の相関係数は−0.558とはっきり逆向きに動きます。AKABUの0.498は全体平均(0.535)には届かないものの、この軽快グループのなかでは上位23%。軽さを取りにいって味を削り切ってはいません。
穏やか0.307も同じ話で、下位17%という低さです。軽快グループの平均穏やか0.286と比べればやや高いものの、角を丸めたタイプではない。軽いけれどぼんやりはしないという性格は、この数字に出ています。ドライ0.230(下位22%)はグループ平均0.281より低く、後口はキレより甘やかさ寄りです。
軽快0.55以上の130本のうち、芳醇0.485以上・華やか0.45以上・重厚0.23以下——つまりAKABUと同じ「軽い・香る・旨味も残す」形に収まるのは25本、率にして19%にとどまります。多数派ではありません。
以下の5本は、その形がAKABUに近い順に並べています。いずれもさけのわランキング入りの人気銘柄です。
1. 加茂錦(新潟県・加茂錦酒造)|類似度 0.9995
収録銘柄のなかで、AKABUとベクトルの形が最も近い1本です。重厚0.203はAKABUと同値、華やか0.477も0.005差(全体で上位11%)。骨格がほぼそのまま重なります。
差が出るのは軽快0.555と芳醇0.507です。軽快は5本のなかで最も低く、そのぶん芳醇は5本で最も高い。身軽さをわずかに引いて、旨味の厚みに振り替えたバランスです。ドライ0.246も5本で最も高く、後口は5本のなかでいちばんすっきり切れます。とはいえ軽快0.555は全体では上位9%なので、重くなるわけではありません。AKABUの飲み口を保ったまま味の芯を少し太くしたい——最初の1本として迷ったらこれです。
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2. 仙禽(栃木県・せんきん)|類似度 0.9994
穏やか0.306はAKABUの0.307とほぼ同値、華やか0.487も0.005差です。香りの高さと、角を丸めないところがそのまま共通しています。
違いは軽快0.584とドライ0.200。軽快は全体の上位4%でAKABUよりさらに身軽、ドライは5本で最も低く全体の下位14%です。キレを抑えたぶん、後口に甘さの余韻が残る形になります。重厚0.216は5本で最も高い値ですが、全体では下位13%なので重さの話ではありません。AKABUをもっと軽く、もっと甘やかな方向に伸ばしたい人向けです。さけのわランキング4位と、5本で最上位の人気銘柄でもあります。
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3. 飛鸞(長崎県・森酒造場)|類似度 0.9993
5本のなかで、いちばん軽さに振り切った1本です。重厚0.185は5本で最も低く全体の下位6%、軽快0.596は上位4%。華やか0.492(上位8%)もAKABUより高く、香りと身軽さの両方を一段ずつ上げたプロフィールになります。
芳醇0.485は5本で最も低い値です。ここまで軽快を上げると旨味は削れる、という全体の傾向どおりの結果ですが、軽快0.55以上グループの平均0.449は大きく上回っています。穏やか0.290も低めなので、味の輪郭は残ったまま。AKABUの「軽い・香る」をそのまま強くした酒が欲しいときの選択肢です。さけのわランキングは62位で、5本のうちでは名前の知られ方が控えめな1本になります。
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4. あべ(新潟県・阿部酒造)|類似度 0.9990
香りをすこし抑えて、味のほうを残した1本です。華やか0.466は5本で最も低く(それでも全体では上位12%)、芳醇0.502は5本で2番目に高い。軽快0.596は飛鸞と並んで5本最高です。
香りの押しを引いた状態で、軽さは最大まで上げているという組み合わせになります。穏やか0.287は5本で最も低く全体の下位13%、ドライ0.209も低い。つまり丸くもなく、キレるわけでもなく、味の輪郭だけがくっきり残るタイプです。AKABUを飲んでいて香りが少し強いと感じる人、料理と合わせる場面で香りを控えたい人に向きます。
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5. みむろ杉(奈良県・今西酒造)|類似度 0.9990
5本のなかで最も香りが高く、同時に最もやわらかい1本です。華やか0.502は全体の上位7%で5本の最高値、穏やか0.331も5本で最も高い。重厚0.193は下位7%の軽さです。
軽快0.566は5本で2番目に低く、ドライ0.201も低い。軽さとキレをわずかに戻して、そのぶん香りと当たりのやわらかさを足した形です。AKABUより0.024高い穏やかは、飲んだときの角の立ち方の差として出ます。AKABUの方向は好きだけれど、もう少し華やかで口当たりのやさしい酒がいい、という人向けになります。
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似ている酒の探し方のコツ
AKABU系の酒を探すときの落とし穴は、軽快さの数字だけで選ぶことです。前述の通り、軽快0.55以上の130本は平均華やか0.445・平均芳醇0.449。AKABU(華やか0.482・芳醇0.498)と比べると、香りも旨味も薄い方向に母集団全体が偏っています。ここから適当に引けば、軽いだけで香りも味も乗っていない酒に当たる確率のほうが高いわけです。
条件を足すなら次の3つです。ひとつは華やか0.45以上。今回の5本は0.466〜0.502に収まり、いちばん低いあべでも全体の上位12%です。ふたつめは芳醇0.48以上。5本は0.485〜0.507で、軽快グループの平均0.449を全員が上回っています。みっつめは重厚0.23以下。5本は0.185〜0.223、全体では下位6〜15%です。軽快と重厚の相関は−0.775と強く連動するので、この軸は自然に低く出ますが、上げてしまうと身軽さが失われます。
5本の性格を並べると、「加茂錦=AKABUにいちばん近く、旨味とキレをわずかに厚く/仙禽=より軽く、後口は甘やか/飛鸞=軽さと香りを最大まで/あべ=香りを抑えて輪郭勝負/みむろ杉=最も華やかでやわらかい」となります。自分がAKABUのどこを気に入っているか——軽さなのか、香りなのか、旨味の残り方なのか——で選べば外しません。
なお、AKABUと同じ岩手県の銘柄では、ランキング入りしている南部美人の類似度が0.9764でした。芳醇0.550・穏やか0.422・軽快0.437と、AKABUとはほぼ逆向きのプロフィールです。同じ県だから味も近い、とはならない典型例と言えます。今回2位に入った仙禽については、仙禽が好きな人におすすめの似ている日本酒5選で逆方向からの比較も書いています。軽快な酒をもっと広く見たい人は、軽快で飲み疲れしない日本酒5選もどうぞ。
自分の好みがどの軸に寄っているかは、1分の日本酒診断で確かめられます。同じAKABU好きでも、軽さに惹かれている人と香りに惹かれている人ではおすすめの1本は変わります。まず自分の座標を知ることから始めてみてください。