鍋島が好きな人におすすめの似ている日本酒5選 — フレーバーデータで探す「次の1本」
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鍋島の次の1本を「フルーティーで軽い酒」で探すと、たいてい想像より味の薄い酒に当たります。身軽な酒を集めると旨味の薄さが一緒についてくるのが全体の傾向で、鍋島の「香るのに薄くない」感じはそこから外れた位置にあるからです。
そこでこの記事では、当サイトが利用しているさけのわデータの6軸フレーバーベクトル(華やか・芳醇・重厚・穏やか・ドライ・軽快)を使い、鍋島とベクトルの向きが近い銘柄をコサイン類似度で計算して選びました。飲んだ人のレビューから算出された数値なので、イメージではなく実際の味の傾向にもとづく比較になります。
まず、鍋島はどういう味のプロフィールなのか
鍋島(佐賀県・富久千代酒造)のフレーバー値と、収録1346銘柄のなかでの位置は次の通りです。
- 華やか 0.484(全体平均0.339)— 上位9%の香りの高さ
- 軽快 0.525(同0.422)— 上位15%
- 重厚 0.219(同0.328)— 下位14%
- 穏やか 0.320(同0.393)— 下位20%
- ドライ 0.251(同0.310)— 下位29%
- 芳醇 0.526(同0.535)— ほぼ平均
形を言葉にすると、香りがはっきり立って飲み口は身軽、どっしりした重さはなく後口も甘やか。そのうえ旨味の厚みは平均を保っているという座標です。6軸のうち5軸が平均から外れているのに、芳醇だけが真ん中に居座っているのが、まずこの酒の特徴になります。
この組み合わせが珍しい理由は、軽快の高いグループを見ると分かります。軽快0.50以上は収録中282本(全体の21.0%)あり、その平均芳醇は0.473。全体平均0.535を大きく下回ります。身軽にすると旨味が薄くなるのが全体の傾向で、実際、軽快と芳醇の相関は−0.558、軽快と重厚は−0.775です。
さらに絞ると、華やか0.48以上かつ軽快0.50以上を満たす「香り高くて身軽」な銘柄は74本(5.5%)。この74本の平均は芳醇0.480・穏やか0.255・ドライ0.216で、鍋島(芳醇0.526・穏やか0.320・ドライ0.251)は3軸すべてでこの母集団より上に立ちます。芳醇はこの群で上位22%、穏やかは上位16%。つまり鍋島は、香りと身軽さのグループのなかで旨味と口当たりの丸みをいちばん残している側の酒です。華やか0.48以上・軽快0.50以上・芳醇0.50以上の3条件を同時に満たすのは1346本中29本(2.2%)、ランキング入りは鍋島・総乃寒菊・信州亀齢・醸し人九平次・楽器正宗・たかちよ・大嶺・彩來の8本だけでした。
以下の5本は、その形が鍋島に近い順に並べています。いずれもさけのわランキング入りの人気銘柄です(鍋島自身は11位)。
1. 信州亀齢(長野県・岡崎酒造)|類似度 0.9995
収録銘柄のなかで、鍋島とベクトルの形が最も近い1本です。華やか0.492は鍋島の0.484より0.008高いだけの上位8%、重厚0.222も0.003差。香りの立ち方と重さのなさが、ほぼそのまま重なります。
違いが出るのは旨味と後口です。芳醇0.504は鍋島より0.022低く、軽快0.539は0.014高い上位11%、ドライ0.262も0.011高い。つまり旨味の厚みをわずかに削って、身軽さとキレに振り替えたバランスになります。鍋島の方向性は好きだけれど、もう少しスッと切れて杯が進むほうがいい——という人向け。さけのわランキング16位です。
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2. 醸し人九平次(愛知県・萬乗醸造)|類似度 0.9993
5本のなかで、旨味の厚みがいちばん近い1本です。芳醇0.523は鍋島の0.526より0.003低いだけ、穏やか0.325も0.005差。「香るのに薄くない」という鍋島の核心部分がそのまま保たれています。
差が出るのは2軸。重厚0.247は鍋島より0.028高い5本の最高値(それでも下位22%)、軽快0.510は0.015低い5本の最低値です。あわせてドライ0.234は0.017低い下位23%。要するに身軽さを少し引いて、飲みごたえと甘やかな余韻を足したプロフィール。1杯をゆっくり味わう飲み方、少し味の濃い料理と合わせる場面に向きます。華やか0.494は上位8%で5本のなかでも2番目の高さ。ランキング17位です。
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3. 加茂錦(新潟県・加茂錦酒造)|類似度 0.9992
5本のなかで、いちばん身軽な側に振れた1本です。軽快0.555は鍋島より0.030高い上位9%、重厚0.203は0.016低い下位9%で、どちらも5本の最高値・最低値。飲みごたえを削って、するすると進む方向にはっきり寄せた組み合わせです。
残りの軸は鍋島とほぼ同じで、穏やか0.324(+0.004)・ドライ0.246(−0.005)・華やか0.477(−0.007)はいずれも0.01以内の差。芳醇0.507だけが0.019低くなります。つまり香りと後口はそのまま、重さだけ抜いた鍋島、という読み方ができます。2杯目3杯目で重くなるのが苦手な人、食事を通して同じ酒で行きたい人に。ランキング24位です。
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4. 羽根屋(富山県・富美菊酒造)|類似度 0.9989
5本のなかで、旨味の数値だけが鍋島を上回る1本です。芳醇0.534は鍋島より0.008高く、ほぼ全体平均(上位54%)。重厚0.224(+0.005)・華やか0.480(−0.004)も鍋島とほぼ同値です。
はっきり違うのは穏やか0.356で、鍋島より0.036高い5本の最高値。あわせて軽快0.499は0.026低い5本の最低値(上位21%)になります。口当たりの丸みを足して身軽さを引いた方向で、同じ香りの高さのまま輪郭がやわらかくなるタイプです。ドライ0.242も鍋島より低いので後口は甘やか側。鍋島の香りは気に入っているが、もう少し落ち着いて飲みたいときに。ランキング31位です。
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5. 水芭蕉(群馬県・永井酒造)|類似度 0.9981
5本のなかで、香りがいちばん高い1本です。華やか0.506は鍋島より0.022高い上位7%。軽快0.543(+0.018)・重厚0.212(−0.007)・穏やか0.309(−0.011)も鍋島と同じ「香り高くて身軽」の形に収まります。
代わりに落ちるのが旨味です。芳醇0.480は鍋島より0.046低い下位19%で、5本の最低値。ドライ0.279も0.028高い5本の最高値になります。つまり旨味の厚みを削って、香りとキレを前に出した組み合わせ。前述の74本の平均芳醇0.480にちょうど乗る数値なので、「香り高くて身軽な酒」の標準形に近いのはこの1本です。鍋島のどこが好きかというと香りだ、という人はこちらへ。ランキング100位なので、5本のうちでは名前の知られ方がいちばん控えめです。
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なお6番目はAKABU(岩手県・赤武酒造)で、類似度0.99792。水芭蕉の0.99806とは0.00014差の事実上の同着です。軽快0.575(上位5%)・重厚0.203(下位9%)・ドライ0.230(下位22%)なので、水芭蕉とは逆——香りは鍋島と同じまま、身軽さと甘やかさを極端に伸ばした方向。ランキング8位で5本より人気は上なので、こちらから試すのも手です(AKABUが好きな人におすすめの似ている日本酒5選でも同じ計算をしています)。
似ている酒の探し方のコツ
鍋島系の酒を探すときの落とし穴は、華やかの数字だけで選ぶことです。華やか0.48以上の138本は、平均で芳醇0.514・穏やか0.270。鍋島(芳醇0.526・穏やか0.320)と比べると、母集団全体が「もっと薄くてもっと輪郭のはっきりした」方向に寄っています。ここから適当に引けば、香りは似ているのに味がのっていない酒に当たる確率のほうが高いわけです。
条件を足すなら次の3つです。ひとつは芳醇0.48以上。今回の5本は0.480〜0.534で、鍋島の「香るのに薄くない」感じを外さないための下限になります。ふたつめは軽快0.49以上。5本は0.499〜0.555で、身軽さを担保する条件です。みっつめは重厚0.25以下。5本は0.203〜0.247に収まります。華やかを上げると重厚が落ちる(相関−0.703)ので、ここは比較的自然に満たされます。
この3条件に華やか0.47以上を加えた4条件を同時に満たす銘柄は1346本中49本、そのうちランキング入りは18本でした。仙禽・AKABU・鍋島・総乃寒菊・信州亀齢・醸し人九平次・みむろ杉・光栄菊・加茂錦・楽器正宗・陸奥八仙・羽根屋・たかちよ・天美・大嶺・飛鸞・彩來・水芭蕉です。鍋島の棚の隣を探すなら、この18本が出発点になります。
5本の性格を並べると、「信州亀齢=ほぼ同じ形で少しキレ寄り/醸し人九平次=旨味は同じで飲みごたえを足す/加茂錦=香りと後口はそのまま重さだけ抜く/羽根屋=丸みを足して身軽さを引く/水芭蕉=香りを足して旨味を削る」となります。自分が鍋島のどこを気に入っているか——香りの高さなのか、身軽さなのか、薄くならない旨味なのか——で選べば外しません。
なお、鍋島と同じ佐賀県の銘柄では、ランキング22位の光栄菊が鍋島以外で唯一この4条件を満たします。ただし類似度は0.9840で、軽快0.612(鍋島0.525)・ドライ0.149(同0.251)・穏やか0.229(同0.320)と、身軽さと甘やかさがかなり強い方向にずれます。63位の七田は0.9893で重厚0.301・華やか0.405の食事寄り、収録22銘柄のなかで形がもっとも近いのは古伊万里 前の0.9967でした。同じ県だから味も近い、とはならないのが数値に出ています。
鍋島の華やかさで選びたい人はフルーティーで華やかな日本酒5選、軽快さが気に入っている人は軽快で飲み疲れしない日本酒5選、冷やして飲む機会が多い人は冷酒で美味しい日本酒5選もどうぞ。
自分の好みがどの軸に寄っているかは、1分の日本酒診断で確かめられます。同じ鍋島好きでも、香りの高さに惹かれている人と身軽さに惹かれている人ではおすすめの1本は変わります。まず自分の座標を知ることから始めてみてください。