作(ざく)が好きな人におすすめの似ている日本酒5選 — フレーバーデータで探す「次の1本」
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作(ざく)を気に入ったあと、次の1本で失敗する人は多いはずです。「作みたいな華やかな酒」で探すと、香りが同じくらい立つ銘柄はいくらでも出てきます。ただ、そのほとんどは飲み口がもっと軽く、味の芯が細い。作の「香りは派手なのに、口のなかに残る旨味はちゃんとある」という感じとは、少しずれた酒に当たりがちです。
そこでこの記事では、当サイトが利用しているさけのわデータの6軸フレーバーベクトル(華やか・芳醇・重厚・穏やか・ドライ・軽快)を使い、作とベクトルの向きが近い銘柄をコサイン類似度で計算して選びました。飲んだ人のレビューから算出された数値なので、イメージではなく実際の味の傾向にもとづく比較になります。
まず、作はどういう味のプロフィールなのか
作(三重県・清水清三郎商店)のフレーバー値と、収録1346銘柄のなかでの位置は次の通りです。
- 華やか 0.526(全体平均0.339)— 上位4%に入る高さ
- 芳醇 0.543(同0.535)— 上位49%、ほぼ中央値(全体の中央値は0.542)
- 重厚 0.210(同0.328)— 下位11%の軽さ
- 穏やか 0.345(同0.393)— 下位28%
- ドライ 0.231(同0.310)— 下位22%
- 軽快 0.460(同0.422)— 上位35%
形を言葉にすると、香りだけが突き抜けて高く、重さとキレは低く、旨味はちょうど真ん中。6軸のうち極端なのは華やか0.526と重厚0.210の2つです。
面白いのはここからで、華やか0.50以上の銘柄は97本ありますが、その97本の平均芳醇は0.504しかありません。香りが派手な酒は、旨味のほうが薄くなるのが全体の傾向です(華やかと重厚の相関係数は−0.703と、はっきり逆向きに動きます)。作の芳醇0.543はグループ平均を上回り、収録銘柄全体で見てもちょうど中央値。香りを上げながら旨味を削っていません。
軽快0.460も同じ話です。華やか0.50以上グループの平均軽快は0.510で、作はそれより低い。香りは最上位クラスなのに、飲み口はスイスイ流れるタイプではないわけです。ドライ0.231も下位22%なので後口は甘やかに寄りますが、グループ平均0.203よりは高く、べたつく側に振り切ってもいません。
華やか0.50以上の97本のうち、芳醇0.54以上かつ軽快0.50以下——つまり作と同じ「香りは派手、でも軽く流れない」形に収まるのは26本、率にして27%です。多数派ではありません。
以下の5本は、その形が作に近い順に並べています。いずれもさけのわランキング入りの人気銘柄です。
1. 羽根屋(富山県・富美菊酒造)|類似度 0.9979
収録銘柄のなかで、作とベクトルの形が最も近い1本です。芳醇0.534・重厚0.224・穏やか0.356・ドライ0.242と、4軸が作(0.543/0.210/0.345/0.231)とほぼ重なります。
差が出るのは華やか0.480と軽快0.499の2つ。華やかは作より0.046低く、そのぶん軽快が0.039高い。香りの押しをわずかに引いて、飲み口の軽さに振り替えたバランスです。とはいえ華やか0.480は全体で上位10%なので、香りが引っ込むわけではありません。作の骨格をいちばん素直に再現しつつ、後半がすこし軽く流れる——最初の1本として迷ったらこれです。
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2. よこやま(長崎県・重家酒造)|類似度 0.9972
華やか0.517は5本のなかで最も高く、作の0.526にいちばん近い値です(全体では上位5%)。重厚0.209も作の0.210とほぼ同値。香りの高さと軽さの組み合わせが、そのまま共通しています。
違いは芳醇0.568と穏やか0.279です。芳醇は5本で最も高く全体の上位35%、穏やかは5本で最も低く下位11%。旨味を一段厚くして、そのぶんおとなしさを削った形になります。輪郭がはっきり出るタイプなので、作の香りは好きだけれど味がもう少し前に出てほしい、という人に向きます。5本のうちさけのわランキングは71位と最も低く、そのぶん名前を知らない人にも出しやすい1本です。
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3. 醸し人九平次(愛知県・萬乗醸造)|類似度 0.9971
華やか0.494(上位8%)・ドライ0.234と、作の突出部分を素直に引き継いだ銘柄です。ドライは作の0.231とほぼ同値で、後口の性格が近い。
ずれるのは軽快0.510と重厚0.247。軽快は5本で2番目に高く全体の上位18%、重厚は5本で最も高い値です。芳醇0.523は作よりやや低い。旨味をすこし削って、飲み進むテンポを上げたプロフィールと言えます。重厚0.247といっても全体では下位22%なので、もたれる方向ではありません。作を「香りが華やかで飲みやすい酒」として気に入っている人が、その軽さだけを伸ばしたいときの選択肢です。
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4. 獺祭(山口県)|類似度 0.9966
5本のなかで、いちばん穏やかな側に寄っている1本です。穏やか0.406は5本で最も高く(全体では上位45%=ほぼ平均)、作の0.345より一段上。ドライ0.210も5本で最も低く、全体では下位16%にあたります。
華やか0.499は上位7%で、香りの高さは十分。軽快0.463は作の0.460とほぼ同値で、飲み口のテンポは作とそのままです。つまり香りと軽さは保ったまま、角を落として後口をやわらかくした形。芳醇0.517は5本で最も低いので、旨味の主張は控えめです。作の香りは好きだけれど、もう少し当たりのやわらかい酒がいい人向けになります。
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5. 鍋島(佐賀県・富久千代酒造)|類似度 0.9963
5本で最も軽快側に振れた銘柄です。軽快0.525は全体の上位14%、ドライ0.251は5本で最も高い値。重厚0.219は下位14%で、作の0.210に近い軽さです。
華やか0.484(上位9%)・芳醇0.526は作よりわずかに低め。香りと旨味をそれぞれ少しずつ抑えて、軽さとキレに置き換えたバランスになります。5本を飲み比べると、いちばん後口がすっと切れるのがこれです。作を気に入りつつ「もう少しさっぱり飲みたい」日や、味の濃い料理と合わせたい場面に向きます。さけのわランキングは11位で、5本のうち最上位の人気銘柄です。
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似ている酒の探し方のコツ
作系の酒を探すときの落とし穴は、華やかさの数字だけで選ぶことです。前述の通り、華やか0.50以上の97本は平均芳醇0.504・平均軽快0.510。作(芳醇0.543・軽快0.460)と比べると、旨味が薄くて口当たりが軽い方向に全体が偏っています。この母集団から適当に引くと、香りは同じでも中身が細い酒に当たる確率のほうが高いわけです。
条件を足すなら次の3つです。ひとつは芳醇0.52以上。今回の5本は0.517〜0.568に収まっていて、いちばん低い獺祭でも全体の上位63%と極端には落ちていません。ふたつめは重厚0.25以下。5本は0.209〜0.247、全体では下位11〜22%です。作の身軽さはこの軸が支えています。みっつめは軽快を上げすぎないこと。5本は0.463〜0.525で、作より軽い方向に振れているものもありますが、上限は鍋島の0.525(上位14%)まで。ここを0.55以上まで上げると、香りだけが残って味が流れる酒になります。
5本の性格を並べると、「羽根屋=作にいちばん近い/よこやま=旨味を厚く、輪郭をはっきり/醸し人九平次=軽快に振ってテンポ良く/獺祭=角を落としてやわらかく/鍋島=最も軽くキレる」となります。自分が作のどこを気に入っているか——香りなのか、旨味の厚みなのか、軽さなのか——で選べば外しません。
なお、作と同じ三重県の而今は類似度0.9952で、ランキング入り銘柄のなかでは9番目の近さでした。方向は近いものの、而今は芳醇0.575・華やか0.454と旨味寄りで、作ほど香りが突き抜けてはいません。同郷2銘柄の違いはそこにあります。香りが華やかな酒をもっと広く見たい人は、フルーティーで華やかな日本酒5選もどうぞ。
自分の好みがどの軸に寄っているかは、1分の日本酒診断で確かめられます。同じ作好きでも、華やかな香りに惹かれている人と旨味の厚みに惹かれている人ではおすすめの1本は変わります。まず自分の座標を知ることから始めてみてください。