総乃寒菊が好きな人におすすめの似ている日本酒5選 — フレーバーデータで探す「次の1本」

※ 本記事にはアフィリエイト広告(PR)のリンクを含みます

総乃寒菊の次の1本を探すとき、「華やかで軽い酒」という条件で選ぶとたいてい失敗します。香りで有名な銘柄は意外に身軽ではなく、身軽な銘柄は旨味が薄い。総乃寒菊はその両方を同時に満たしている位置にあり、収録データを見るとそこは想像よりずっと人口の少ない場所です。

そこでこの記事では、当サイトが利用しているさけのわデータの6軸フレーバーベクトル(華やか・芳醇・重厚・穏やか・ドライ・軽快)を使い、総乃寒菊とベクトルの向きが近い銘柄をコサイン類似度で計算して選びました。飲んだ人のレビューから算出された数値なので、イメージではなく実際の味の傾向にもとづく比較になります。

まず、総乃寒菊はどういう味のプロフィールなのか

総乃寒菊(千葉県・寒菊銘醸)のフレーバー値と、収録1346銘柄のなかでの位置は次の通りです。

  • 華やか 0.521(全体平均0.339)— 上位4.6%
  • 軽快 0.575(同0.422)— 上位5.1%
  • 穏やか 0.238(同0.393)— 下位5.3%
  • 重厚 0.186(同0.328)— 下位5.7%
  • ドライ 0.204(同0.310)— 下位15.0%
  • 芳醇 0.515(同0.535)— ほぼ平均(わずかに下)

言葉にすると、香りがはっきり立ち、飲み口は軽くてスッと進む。どっしりした重さも、口当たりの丸みもほとんどない。後口は辛くならず甘やか側。そのうえ旨味の厚みは平均を保っているという座標です。4軸が上位・下位6%以内まで振り切れているのに、芳醇だけが真ん中に居座っている。ここがこの酒の特徴です。

この組み合わせが珍しい理由は、軽快の高いグループを見れば分かります。軽快0.57以上は収録中80本(5.9%)あり、その平均芳醇は0.435。全体平均0.535を0.10も下回ります。身軽にすると旨味が抜けるのが全体の傾向で、実際、軽快と芳醇の相関は−0.558、軽快と重厚は−0.775です。

この80本のなかで、芳醇が総乃寒菊の0.515を上回るのはわずか5本(澪・醍醐のしずく・鏡野・水府自慢・ゆきのまゆ)。しかもその5本はいずれもさけのわランキング圏外です。つまり総乃寒菊は、「軽快0.57以上」で旨味がいちばん厚いランキング銘柄ということになります(本人はランキング12位)。

もう一方の軸から見ても同じです。華やか0.50以上の97本は平均軽快0.510で、うち44本は軽快0.50を下回ります。香りが高い酒の半数近くは、身軽ではないわけです。

以下の5本は、総乃寒菊にベクトルの形が近い順に並べたランキング入り銘柄です。

1. 楽器正宗(福島県・大木代吉本店)|類似度 0.99873

ランキング入り銘柄のなかで、総乃寒菊とベクトルの形が最も近い1本です。華やか0.508は総乃寒菊より0.013低いだけの上位6.1%、軽快0.563も0.012差、芳醇0.528は0.013高い。香り・身軽さ・旨味の3つが、ほぼそのまま重なります。

違いが出るのは重さと後口です。重厚0.159は総乃寒菊より0.027低い下位2.8%で、収録銘柄のなかでもかなり端のほう。あわせてドライ0.233は0.029高い5本の最高値、穏やか0.260も0.022高くなります。つまり重さをさらに削って、後口のキレをわずかに足したバランス。総乃寒菊の形はそのままに、もう少しスッと切り上がってほしいという人向けです。ランキング27位。

楽器正宗の味わいチャートを見る / 楽天で探す(PR) / Amazonで探す(PR)

2. 天美(山口県・長州酒造)|類似度 0.99863

5本のなかで、香りがいちばん高い1本です。華やか0.551は総乃寒菊より0.030高い上位2.5%(これより香りが高いのは収録1346本中33本)。軽快0.572は0.003差のほぼ同値なので、身軽さはそのままに香りだけ上に伸ばした形になります。

もうひとつ振れるのが重さです。重厚0.153は総乃寒菊より0.033低い下位2.3%で、5本の最低値。代わりに芳醇0.497は0.018低くなります。華やかを上げると重厚が落ちる(相関−0.703)ので、この2軸は連動した結果と読めます。穏やか0.252(+0.014)・ドライ0.189(−0.015)は総乃寒菊とほぼ同じ。総乃寒菊の好きなところが香りの高さなら、まずこの1本です。ランキング43位。

天美の味わいチャートを見る / 楽天で探す(PR) / Amazonで探す(PR)

3. 飛鸞(長崎県・森酒造場)|類似度 0.99741

5本のなかで、いちばん口当たりが丸い1本です。穏やか0.290は総乃寒菊より0.052高い5本の最高値。同時に軽快0.596は0.021高い上位3.7%、重厚0.185は0.001差の同値です。

代わりに前に出る要素は控えめになります。華やか0.492は総乃寒菊より0.029低い5本の最低値(それでも上位8.0%)、芳醇0.485も0.030低い5本の最低値。ドライ0.221は0.017高い。要するに香りと旨味をそれぞれ少し引いて、まろやかさと身軽さに振り替えたプロフィールです。香りが主役になりすぎないので、食事を通して合わせる使い方に向きます。総乃寒菊は香りが立ちすぎると感じる場面がある、という人はこちら。ランキング62位。

飛鸞の味わいチャートを見る / 楽天で探す(PR) / Amazonで探す(PR)

4. 光栄菊(佐賀県・光栄菊酒造)|類似度 0.99734

5本のなかで、総乃寒菊の方向をそのまま極端にした1本です。軽快0.612は0.037高い上位2.7%の5本最高値、穏やか0.229は0.009低い5本最低値、ドライ0.149は0.055低い下位5.1%でこちらも5本最低値。華やか0.528は0.007高いだけ。

つまり身軽さと甘やかさを振り切って、重さと輪郭をさらに削った形です。ドライが下位5%なので後口に辛さの感触はほぼ残らず、軽快が上位3%なので喉越しで止まりません。芳醇0.494が総乃寒菊より0.021低いのが唯一の引き算で、これは軽快を上げた代償と読めます。総乃寒菊を飲んで「もっと軽くて甘やかでいい」と思った人向け。ランキング22位で、5本のなかでは人気がいちばん上です。

光栄菊の味わいチャートを見る / 楽天で探す(PR) / Amazonで探す(PR)

5. 大嶺(山口県・大嶺酒造)|類似度 0.99696

5本のなかで、旨味の厚みがいちばんある1本です。芳醇0.561は総乃寒菊より0.046高く、全体でも平均0.535を超える上位38.7%。華やか0.524(+0.003)・重厚0.187(+0.001)・穏やか0.242(+0.004)の3軸は総乃寒菊とほぼ同値なので、形は同じまま旨味だけを足した座標です。

その分を払っているのが身軽さで、軽快0.543は0.032低い5本の最低値(それでも上位10.1%)。ドライ0.150も0.054低く、光栄菊と並ぶ甘やかな後口になります。1杯をゆっくり飲む場面、少し味の濃い料理と合わせる場面に向く組み合わせです。総乃寒菊の軽さは好きだけれど物足りなさもある、という人はここへ。ランキング47位。

大嶺の味わいチャートを見る / 楽天で探す(PR) / Amazonで探す(PR)

6番目以降は「丸み寄り」の4本が同着

6位は仙禽(栃木県)の0.99632ですが、あべ(新潟県)0.99629、AKABU(岩手県)0.99623、風の森(奈良県)0.99615が0.0002以内に並び、事実上の同着です。

この4本は穏やか0.265〜0.307で、総乃寒菊の0.238より一様に高い。総乃寒菊の華やかさと軽快さは残しつつ、口当たりに丸みが足されたグループと見ると分かりやすいです。さけのわランキングではこちらが上(風の森3位・仙禽4位・AKABU8位・あべ41位)で、総乃寒菊の12位より名前の知られた銘柄が並びます。それぞれ仙禽・AKABU・風の森を起点にした同じ計算の記事もあります。

なおランキング圏外まで含めると、総乃寒菊に最も近いのは桃の里(岡山県・赤磐酒造)の0.99954でした。華やか0.522・軽快0.574・重厚0.197・穏やか0.259と、6軸がほぼ重なります。

似ている酒の探し方のコツ

総乃寒菊系を探すときの落とし穴は、1軸だけで選ぶことです。

華やかだけで選ぶと、香りは高いが身軽ではない酒に当たります。実際、香りで名前の挙がる銘柄との類似度を計算すると、花陽浴は0.9666(軽快0.411)、亀泉は0.9728(軽快0.451)、獺祭は0.9776(穏やか0.406)。いずれも総乃寒菊より数値がはっきり低く、「華やかな人気銘柄」の代表格はむしろ別の方向にいます。

逆に軽快だけで選ぶと、前述のとおり平均芳醇0.435のグループを引くことになり、味の薄い酒に当たる確率が高くなります。

条件を重ねるなら次の4つです。

  • 華やか 0.49以上 — 今回の5本は0.492〜0.551
  • 軽快 0.54以上 — 5本は0.543〜0.612
  • 芳醇 0.48以上 — 5本は0.485〜0.561。「薄くならない」ための下限
  • 穏やか 0.29以下 — 5本は0.229〜0.290。輪郭のはっきりした口当たりを担保する条件

重厚は指定しなくてかまいません。軽快と重厚の相関が−0.775なので、軽快の条件を満たせばほぼ自動的に下がります(5本は0.153〜0.187)。

この4条件を同時に満たす銘柄は1346本中19本(1.4%)。そのうちランキング入りは6本で、総乃寒菊・光栄菊・楽器正宗・天美・大嶺・飛鸞——つまり本人と今回の5本で全部です。残りの13本(萩野・清りょう・文楽・澪・水府自慢・倉本・HINEMOS・ゆきのまゆ・UGO・鏡野・LIBROM・KAWABU・桃の里)まで手を伸ばすと、知名度は下がりますが同じ形の酒がまだ見つかります。

5本の性格を並べると、「楽器正宗=ほぼ同形で後口のキレを足す/天美=香りを上に伸ばす/飛鸞=丸みを足して香りと旨味を引く/光栄菊=軽さと甘やかさを振り切る/大嶺=形は同じで旨味を足す」となります。総乃寒菊のどこを気に入っているか——香りの高さか、止まらない軽さか、薄くならない旨味か——で選べば外しません。

同じ千葉県の銘柄とは、意外に離れている

総乃寒菊と同じ千葉県の収録は24銘柄。このうちランキング入りはもう1本、49位の甲子(飯沼本家)だけです。

その甲子との類似度は0.9893。華やか0.514・軽快0.571・重厚0.177・穏やか0.232と4軸は総乃寒菊とほぼ同じなのに、ドライ0.338が総乃寒菊の0.204より0.134高い。形は近いが後口が辛口側にはっきり振れているという違いで、1軸の差がそのまま類似度に出ています。

県内で次に近いのは東魁盛(0.9867)、鳴海(0.9861・軽快0.671は収録全体の上位0.9%)、醍醐のしずく(0.9854)。一方で香取は0.7161、afsは0.7675と、同じ県内でもまったく別の座標にあります。同じ県だから味も近い、とはならないのが数値に出ています。ちなみに同じ寒菊銘醸の「寒菊 どぶろく 銀八」は0.9791で、芳醇0.626(総乃寒菊0.515)・軽快0.420(同0.575)と、こちらも方向が違います。

次に読む

総乃寒菊の華やかさで選びたい人はフルーティーな日本酒5選、軽快さが気に入っている人は軽快で飲み疲れしない日本酒5選、ドライの低さ(甘やかな後口)が好みなら甘口日本酒入門もどうぞ。今回5本のうち2本が山口県なので、山口のフルーティーな日本酒5選も近い内容です。旨味を残した軽い酒という点で形の近い鍋島が好きな人におすすめの似ている日本酒5選も参考になります。

自分の好みがどの軸に寄っているかは、1分の日本酒診断で確かめられます。同じ総乃寒菊好きでも、香りに惹かれている人と軽さに惹かれている人ではおすすめの1本は変わります。まず自分の座標を知ることから始めてみてください。