福岡の日本酒おすすめ5選 — 6軸すべてが全国平均±0.02、40県で唯一の「ど真ん中の県」

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福岡の日本酒は、どういう味なのか。当サイトが利用しているさけのわデータの6軸フレーバーベクトル(華やか・芳醇・重厚・穏やか・ドライ・軽快)で福岡県の38銘柄を集計してみると、答えは「全国平均そのもの」でした。

6軸すべての県平均が、全国1346銘柄の平均の**±0.02以内に収まっています。収録10銘柄以上の40都道府県で、これができるのは福岡だけ**です。県平均ベクトルと全国平均ベクトルのユークリッド距離0.0261も40県中1位の近さ。

ただ、これは「福岡の酒が平凡」という話ではありません。県内38銘柄でつくれる703ペアの平均類似度は0.9232で、ばらつきは40県中7番目に大きい側。平均が真ん中にいるのは、両端が引っ張り合って打ち消しているからです。この記事では県の構造を数字で確かめたうえで、人気2銘柄と各方向の端から5本を選びます。

データで見る福岡の県平均

福岡県38銘柄の平均値を、収録1346銘柄の全国平均と並べます。県順位は収録10銘柄以上の40都道府県で比べたものです。

軸 福岡平均 全国平均 差 県順位
華やか 0.337 0.339 -0.002 22位
芳醇 0.524 0.535 -0.011 30位
重厚 0.318 0.328 -0.010 22位
穏やか 0.381 0.393 -0.011 23位
ドライ 0.312 0.310 +0.001 17位
軽快 0.440 0.422 +0.018 10位

差の絶対値が最大の軸でも0.018(軽快)。6軸の順位も10位〜30位のあいだに全部おさまっていて、上にも下にも突き抜けていません。

同じ距離を40県で並べると、福岡0.0261・熊本0.0300・富山0.0304・京都0.0378・広島0.0402の順。逆側の端は鳥取0.2925、高知0.2086、大阪0.1639です。±0.02以内に6軸すべてが入る県は福岡だけで、許容を±0.03まで緩めてようやく千葉・神奈川・富山・三重・京都・熊本の6県が加わります。

上位25%の該当本数で見ると、わずかに軽さ寄りではあります。軽快の全国上位25%境界0.484を超えるのが14本=36.8%(40県中7位)、穏やか0.450超えが13本=34.2%(8位)、ドライ0.367超えが11本=28.9%(12位)。一方で華やか0.414超えは8本=21.1%(24位)、芳醇0.586超えと重厚0.381超えはどちらも9本=23.7%(19位・21位)。軽さとキレと丸みが少し多く、香りと旨味と厚みが少し少ない——ただし差はどれも全国平均の周りです。

平均が真ん中なのは、両端が打ち消し合っているから

県平均が全国平均に一致していても、中身がそろっているとは限りません。福岡は実際、かなりばらけています。

軸ごとの標準偏差を全国と比べるとこうなります。

軸 福岡SD 全国SD ばらつき県順位
軽快 0.127 0.104 2位
穏やか 0.115 0.096 3位
ドライ 0.116 0.111 10位
芳醇 0.084 0.076 6位
華やか 0.112 0.113 14位
重厚 0.111 0.112 16位

軽快のばらつきは40県中2位、穏やかは3位。平均は中央なのに、散り方は全国平均より大きい軸が並びます。

銘柄同士の距離でも同じです。福岡38銘柄の全703ペアのコサイン類似度の平均は0.9232で、これは40県で7番目に低い値(最もばらけているのは青森0.9073、最もそろっているのは北海道0.9738)。最小ペアはDebut×Wakanami Sparklingの0.5350、最大は繁桝×玉出泉の0.9989でした。

そして決定的なのがこれです。福岡は6軸すべてで、全国上位5%の銘柄と下位5%の銘柄を同時に抱えています。

軸 県内最高(全国順位) 県内最低(全国順位) 県内の幅
華やか LIBROM 0.565(26位) 独楽蔵 0.093(1321位) 0.472
芳醇 蒼田 0.661(23位) Wakanami Sparkling 0.220(1340位) 0.441
重厚 Debut 0.661(15位) Wakanami Sparkling 0.090(1340位) 0.571
穏やか 旭菊 0.633(15位) Debut 0.122(1338位) 0.511
ドライ 寒北斗 0.628(19位) 鶯印のどぶろく 0.056(1336位) 0.572
軽快 Wakanami Sparkling 0.794(3位) 比翼鶴 0.165(1326位) 0.629

6軸すべてで両端を持つ県は秋田・山形・新潟・岐阜・兵庫・福岡の6県だけ。そのなかで福岡の収録38銘柄は、岐阜の37銘柄に次いで2番目に少ない数です(新潟112・山形63・兵庫56・秋田45)。少ない本数で6方向の端まで届いているのが福岡の形で、県平均が全国平均と一致するのはその結果でしかありません。

象徴的な1本もいます。玉出泉(大賀酒造)は6軸が華やか0.343・芳醇0.542・重厚0.321・穏やか0.421・ドライ0.331・軽快0.446で、全部が上位38%〜50%の帯に入っています。全国平均ベクトルとのユークリッド距離0.0438は1346銘柄中1位。6軸すべてが全国中央値以上という条件を満たす銘柄も、1346本でこの1本だけです(結婚祝いに贈る日本酒5選でも触れています)。全国のど真ん中に立つ銘柄が、県平均も全国のど真ん中である県にいる、という構図になっています。

人気2銘柄は、形がほぼ同じ

さけのわランキング100に入る福岡の銘柄は2本です。田中六五(58位)と庭のうぐいす(95位)。

この2本の類似度は0.9918で、かなり近い形をしています。どちらも軽快が全国上位17%以内(0.513・0.515)で、重厚は下位22%以内(0.245・0.242)。軽さがあって厚みがないという同じ方向です。県平均ベクトルとの類似度も0.9855・0.9921で、両方とも県の中央寄りにいます。

つまり福岡は、人気銘柄2本を飲んでも県の広さは分からない県です。以下の5本は、その2本を押さえたうえで、旨味・キレ・丸みの3方向の端をそれぞれ1本ずつ足す構成にしました。5本の全10ペアの類似度は0.797〜0.992に散っています。

1. 田中六五(白糸酒造)|穏やか上位14%・軽快上位17%、県内人気1位

華やか0.381(上位36%)・芳醇0.486(下位21%)・重厚0.245(下位22%)・穏やか0.487(上位14%)・ドライ0.245(下位27%)・軽快0.513(上位17%)。穏やかと軽快の2軸だけが上に出て、あとは全部下という並びです。

穏やか0.487は全国194位(県内7位)。香りで押さず、旨味も厚みも立てず、キレも抑えて、丸さと軽さだけを残した形です。まろやかで穏やかな日本酒5選にも入れている1本で、引き算の設計がデータにそのまま出ています。

味の濃いものより、素材の味だけで食べるものと合わせるほうが噛み合います。湯豆腐や白身魚の鍋のような淡い料理は鍋料理に合う日本酒5選でも取り上げました。冷やしすぎず、常温に近いところから試すと穏やかさが分かりやすいはずです。父の日に贈る日本酒5選でも選んでいます。

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2. 庭のうぐいす(山口酒造場)|田中六五との類似度0.992、香り側にずらした人気2位

華やか0.409(上位26%・全国355位)・芳醇0.520(下位38%)・重厚0.242(下位21%)・穏やか0.382(下位45%)・ドライ0.304(上位49%)・軽快0.515(上位16%・全国222位)。

田中六五との違いは2軸です。華やかが0.381→0.409と上がり、穏やかが0.487→0.382と下がる。丸さを少し削って、香りを少し足した形になります。類似度0.9918というのはその程度の差、ということでもあります。

軽快0.515は県内7位。重厚0.242は県内31位で、ここは田中六五と同じく薄い側です。香りと軽さで飲ませて、後に何も残さないタイプなので、冷酒で単体か、揚げ物・焼き物の合間に挟むのが向きます。冷酒で美味しい日本酒5選の考え方が使えます。

青森の田酒と似ている銘柄として田酒が好きな人におすすめの似ている日本酒でも類似度0.9975で挙がっている1本です。

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3. 蒼田(喜多屋)|芳醇0.661は全国23位、県内1位の旨味

芳醇0.661は全体の上位2%(全国23位)で県内38銘柄中1位。人気2本が0.486・0.520と下位帯にいるのに対して、同じ県にこの値があります。

キレも残っていて、ドライ0.371は上位24%(県内11位)。逆に穏やか0.278は下位11%(県内32位)、軽快0.381は下位33%(県内28位)です。旨味を最大にして、丸さと軽さを引いた形で、田中六五との類似度は0.945、庭のうぐいすとは0.971。人気2本から旨味の方向へまっすぐ離れた位置にいます。

重厚0.284は下位38%なので、旨味は強くても重くはなりません。旨味が濃くてキレがあるという並びは、味の濃い煮物や旨味の強いものと合わせやすい側です。軸そのものから全国で探すなら芳醇な日本酒5選もどうぞ。

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4. 寒北斗(寒北斗酒造)|ドライ0.628は全国19位、県内1位のキレ

ドライ0.628は全体の上位1%(全国19位)で県内1位。福岡38銘柄のドライの幅は0.056〜0.628で、その上端がこの1本です。

そのぶん他の軸は全部下げています。芳醇0.400は下位4%(県内36位)、華やか0.243は下位20%、重厚0.231は下位18%、穏やか0.307は下位17%。5軸を落としてドライだけを全国トップ帯に置いた形で、残るのは軽快0.489(上位24%)だけです。

県平均ベクトルとの類似度0.9281は、今回の5本で下から2番目。比翼鶴との0.7965は5本の10ペアで最小値でした。キレで選ぶならここが県の端で、全国から探す場合は辛口日本酒入門に選定があります。脂のあるものや塩気のあるものを流す飲み方に向く数値です。

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5. 比翼鶴(比翼鶴酒造)|穏やか0.582は全国36位、軽快0.165は全国1326位

穏やか0.582は全体の上位3%(全国36位・県内2位)、重厚0.444も上位13%(全国180位・県内5位)、芳醇0.589も上位23%。丸さと厚みと旨味を3つそろえて上に置いた形です。

引いているのは香りと軽さで、華やか0.152は下位5%(県内35位)、軽快0.165は下位1%(全国1326位)で県内38銘柄中の最下位。ここまで来ると人気2本(軽快0.513・0.515)とは完全に別の酒です。田中六五との類似度0.884、庭のうぐいすとは0.862、寒北斗とは0.797。

軽快が下位1%・重厚が上位13%という並びは、温度を上げても崩れにくい側の数値です。燗酒に合う日本酒5選の考え方で温度を試すと形が掴めます。厚みを軸に全国から探すならどっしり飲みごたえのある日本酒5選、丸さならまろやかで穏やかな日本酒5選へ。少量をゆっくり飲む相手に向く数値として敬老の日に贈る日本酒5選でも選んでいます。

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もう少し掘るなら

県の中央を1本で押さえたいなら、やはり玉出泉(大賀酒造)です。県平均ベクトルとの類似度0.9995は38銘柄中1位で、全国平均との距離0.0438も1346銘柄中1位。県の中心と全国の中心が同じ1本になっているのは福岡だけの事情です。同じ帯には蜻蛉(若波酒造)の0.9974、繁桝(高橋商店)の0.9971、池亀(池亀酒造)の0.9968が続きます。

軽さの上限はWakanami Sparkling(若波酒造)の軽快0.794で、これは全国3位。芳醇0.220・重厚0.090はどちらも全国1340位で、県内最下位です。次がゆうま(七曜酒造)の軽快0.738(全国7位)、山の壽(山の壽酒造)の0.616(全国34位)。いずれも軽快で飲み疲れしない日本酒5選の上位帯に入る数値です。

香りの上限はLIBROMの華やか0.565(全国26位・県内1位)。軽快0.574も全国71位で、ドライ0.105は下位2%。香りと軽さだけを立てた形で、フルーティーな日本酒5選の並びに近い位置です。

厚みの上限はDebut(若竹屋酒造場)の重厚0.661(全国15位)。穏やか0.122(全国1338位)・ドライ0.078(1332位)・軽快0.177(1321位)と3軸が全国最下層にあり、どっしり飲みごたえのある日本酒5選でも選んだ1本。Wakanami Sparklingとの類似度0.5350は、福岡703ペアの最小値です。同じ県にこの2本がいることが、県平均が真ん中に落ち着く理由でもあります。

丸さの上限は旭菊(旭菊酒造)の穏やか0.633(全国15位・県内1位)で、華やか0.122は下位3%。比翼鶴との類似度0.995は近く、どちらを選んでも方向は同じです。厚み寄りでは独楽蔵(杜の蔵)の重厚0.572(全国50位)もあり、こちらは華やか0.093が県内最下位。

キレをもう1本足すなら三井の寿(みいの寿)のドライ0.546(全国41位)。寒北斗との類似度0.992で、ほぼ同じ形です。旨味とキレを同時に取るなら九州菊(林龍平酒造場)が重厚0.475(全国133位)・ドライ0.479(全国90位)、旨味と香りなら黒兜(池亀酒造)が芳醇0.657(全国26位・県内2位)・華やか0.446(上位17%)です。

福岡の酒の選び方

福岡は、県名から味を推測してはいけない県です。6軸すべての県平均が全国平均の±0.02以内で、40県で唯一の「ど真ん中」。県平均を見ても方向が出てきません。

代わりに見るべきは中身の散らばりです。軽快のばらつきは40県中2位、穏やかは3位。6軸すべてで全国上位5%と下位5%の両方を抱える6県のひとつで、しかも38銘柄という少ない数でそれをやっています。方向を決めてから銘柄を選べば、福岡のなかでほぼどの方向にも行ける、というのが結論になります。

人気帯なら田中六五と庭のうぐいす、旨味なら蒼田、キレなら寒北斗、丸さと厚みなら比翼鶴。この5本は類似度0.797〜0.992に散っていて、県の幅をだいたい覆えます。中央の基準点を1本置きたいなら、5本の枠外になりますが玉出泉を。

軸そのものから全国で探したい場合は、軽快で飲み疲れしない日本酒5選、芳醇な日本酒5選、まろやかで穏やかな日本酒5選、辛口日本酒入門に選定があります。選び方の順序そのものに迷う場合は日本酒の選び方入門もどうぞ。

自分がどの軸に寄っているか分からないなら、1分の日本酒診断で確かめてから選ぶと、この県では特に外しにくくなります。