花陽浴が好きな人におすすめの似ている日本酒5選 — フレーバーデータで探す「次の1本」
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花陽浴の代わりになる酒を探して「フルーティーな日本酒」で検索すると、たいてい遠回りになります。花陽浴の華やかさは収録データのなかで上から5番目、人気ランキング入り銘柄に限れば1位。「香りが高い」と言われる有名銘柄の多くは、数字で見ると花陽浴よりずっと手前にいます。
そこでこの記事では、当サイトが利用しているさけのわデータの6軸フレーバーベクトル(華やか・芳醇・重厚・穏やか・ドライ・軽快)を使い、花陽浴とベクトルの向きが近い銘柄をコサイン類似度で計算して選びました。飲んだ人のレビューから算出された数値なので、イメージではなく実際の味の傾向にもとづく比較になります。
まず、花陽浴はどういう味のプロフィールなのか
花陽浴(埼玉県・南陽醸造)のフレーバー値と、収録1346銘柄のなかでの位置は次の通りです。
- 華やか 0.665(全体平均0.339)— 上位0.4%(全体5位・ランキング入り100銘柄では1位)
- 穏やか 0.163(同0.393)— 下位1.4%
- 重厚 0.133(同0.328)— 下位1.3%
- ドライ 0.119(同0.310)— 下位2.7%
- 芳醇 0.574(同0.535)— 上位31.1%
- 軽快 0.411(同0.422)— ほぼ平均(中央値0.428をわずかに下回る)
言葉にすると、香りが突き抜けて高く、後口に辛さの感触がほとんどなく、どっしりした重さも口当たりの丸みもない。そのうえ旨味は平均を上回る厚みがあるという座標です。上位・下位の端に4軸が振り切れていて、残った芳醇と軽快の扱いがこの酒の個性になっています。
ひとつ目の特徴は、香りが高いのに旨味が薄くならないことです。華やかを0.05刻みで区切って芳醇の平均を出すと、0.5未満の帯はどこも0.53前後で安定しているのに、0.55以上の36本だけ0.473まで落ちます。香りが本当に高い領域に入ると旨味が抜ける、という傾向が末端にだけ現れるわけです。その36本のうち芳醇が花陽浴の0.574を超えるのはたった6本(亀泉・たかちよ・ARROZ・冬の月・翔空、そして本人)。
ふたつ目は、香りが高いのに身軽ではないことです。華やかと軽快の相関は+0.657で、香りが高い酒はふつう軽快も高くなります。華やか0.55以上の36本の軽快平均は0.496(全体平均0.422)。ところが花陽浴の軽快は0.411で、この36本のなかで0.411以下はわずか3本(花陽浴・有加藤・ARROZ)しかありません。香りの立ち方に対して、飲み口はスッと流れず密度が残る——これが花陽浴の座標です。
以下の5本は、花陽浴にベクトルの形が近い順に並べたランキング入り銘柄です。
1. 亀泉(高知県・亀泉酒造)|類似度 0.99730
花陽浴とほぼ同じ座標にある、唯一の銘柄です。2位以下は0.986台まで離れるので、ここだけ抜けて近い。
華やか0.629は花陽浴より0.036低いだけの上位0.7%(全体9位)。穏やか0.127は0.036低い下位0.7%で5本の最低値、重厚0.115も0.018低い下位0.8%。つまり丸みと重さを削った度合いは花陽浴よりさらに徹底していることになります。芳醇0.593は0.019高く、旨味の厚みも上。
差が出るのは後口と飲み口で、ドライ0.142は0.023高く、軽快0.451は0.040高い(それでも5本のなかでは下から2番目)。花陽浴の香りの高さと甘やかさをそのまま求めるなら、まずこの1本です。ランキング32位。
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2. たかちよ(新潟県・高千代酒造)|類似度 0.98632
5本のなかで、香りの高さをいちばん保ったまま身軽さを足した1本です。華やか0.555は花陽浴より0.110低いものの上位2.4%で、亀泉に次ぐ高さ。芳醇0.577は0.003差のほぼ同値です。
振れるのは飲み口で、軽快0.521は0.110高い上位15.3%。花陽浴の密度を軽くした分だけ香りが下がった、という読み方ができます。穏やか0.184(+0.021・下位2.2%)とドライ0.153(+0.034)は花陽浴と同じく端のほうに残るので、丸みの出ない甘やかな後口はそのまま。重厚0.172は0.039高い下位4.2%。
花陽浴は美味しいけれど飲み進めると少し重い、という人向けです。ランキング33位。
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3. 尾瀬の雪どけ(群馬県・龍神酒造)|類似度 0.98088
5本のなかで、旨味の厚みがいちばんある1本です。芳醇0.634は花陽浴より0.060高い上位5.9%。軽快0.426は0.015差のほぼ同値なので、花陽浴の「軽すぎない飲み口」を引き継いだまま旨味だけ足した形になります。
その代わり香りは華やか0.530(−0.135・上位3.7%)まで下がり、穏やか0.244(+0.081)・ドライ0.200(+0.081)・重厚0.188(+0.055)はいずれも花陽浴より上。端に振り切れていた3軸が、全体で見れば上位6〜14%あたりに落ち着きます。
香りの派手さより飲みごたえを取りたい場面、味の濃い料理と合わせる場面に向く組み合わせです。ランキング45位。
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4. 大嶺(山口県・大嶺酒造)|類似度 0.97619
5本のなかで、いちばん軽快な1本です。軽快0.543は花陽浴より0.132高い上位10.2%。芳醇0.561は0.013低い5本の最低値で、軽くすると旨味が引かれる関係(芳醇と軽快の相関は−0.558)がそのまま出ています。
華やか0.524は0.141低く(上位4.3%)、ドライ0.150は0.031高いだけ。穏やか0.242・重厚0.187は尾瀬の雪どけとほぼ同じ水準です。要するに花陽浴の甘やかな後口を保ったまま、飲み口を軽い側に振り替えたプロフィール。喉越しで止まらないタイプが欲しい人はここへ。ランキング47位。
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5. 鳳凰美田(栃木県・小林酒造)|類似度 0.97597
5本のなかで、口当たりがいちばん丸く、人気もいちばん上の1本です。穏やか0.271は花陽浴より0.108高い5本の最高値、重厚0.225も0.092高い5本の最高値。あわせて芳醇0.617は0.043高い上位11.7%。
花陽浴から削られていた丸みと重さを戻し、旨味も足した座標です。その分、華やか0.519は0.146低い5本の最低値(それでも上位4.9%)。軽快0.439は0.028高いだけで、飲み口の密度は花陽浴寄りに残ります。
4軸が端まで振り切れた花陽浴に比べると、全体のバランスは中央寄り。花陽浴の香りは好きだが尖りすぎに感じる、という人に向きます。ランキング9位で、5本のなかでは唯一のトップ10銘柄です。
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6番目以降は「軽快を足した」方向に並ぶ
6位は天美(山口県)の0.97096、7位は同じ埼玉県の彩來(0.96981)、以下よこやま(長崎県)0.96946、総乃寒菊(千葉県)0.96660と続きます。
この4本は軽快0.480〜0.575で、花陽浴の0.411より一様に高い。花陽浴の香りの高さを残しつつ、飲み口を軽い側に寄せていくグループと見ると分かりやすいです。なかでも総乃寒菊は華やか0.521・軽快0.575で、花陽浴とは「香りが高い」という点だけが共通し、飲み口は正反対の端にいます。起点を入れ替えた総乃寒菊の記事・鳳凰美田の記事も同じ計算で書いています。
なおランキング圏外まで含めると、亀泉に次いで近いのは冬の月(岡山県・嘉美心酒造)の0.99161でした。華やか0.579・芳醇0.590・重厚0.151・ドライ0.163と、花陽浴の形をそのまま少し穏やかにした座標です。
似ている酒の探し方のコツ
花陽浴系を探すときの落とし穴は、華やかの1軸だけで選ぶことです。
香りで名前の挙がる人気銘柄との類似度を実際に計算すると、十四代0.9599、新政0.9524、信州亀齢0.9495、風の森0.9447、獺祭0.9433、而今0.9409、冩楽0.9360。今回の5本(0.976〜0.997)よりはっきり低く、どれも華やかは0.44〜0.50の範囲に収まります。花陽浴の0.665とは0.16以上の差があり、「華やかな人気銘柄」の代表格は花陽浴の隣にはいません。離れる理由は銘柄ごとに違い、獺祭は穏やか0.406・而今は穏やか0.381と口当たりの丸みで、風の森は軽快0.613と飲み口の軽さで、花陽浴と反対側に出ます。
条件を重ねるなら次の4つです。
- 華やか 0.51以上 — 今回の5本は0.519〜0.629
- 芳醇 0.55以上 — 5本は0.561〜0.634。「香りだけで薄い酒」を外すための下限
- 穏やか 0.28以下 — 5本は0.127〜0.271
- ドライ 0.21以下 — 5本は0.142〜0.200。甘やかな後口を担保する条件
重厚は指定しなくてかまいません。華やかと重厚の相関が−0.703なので、華やかの条件を満たせばおおむね下がります(5本は0.115〜0.225)。
この4条件を同時に満たす銘柄は1346本中19本(1.4%)。そのうちランキング入りは6本で、花陽浴・鳳凰美田・亀泉・たかちよ・尾瀬の雪どけ・大嶺——つまり本人と今回の5本で全部です。残りの13本(冬の月・茜さす・翔空・金雀・横山五十・嘉美心・寒菊 どぶろく 銀八・Ohmine Junmai・Fu.・イットキー・WAKAZE・栃茜・ARROZ)まで手を伸ばすと、知名度は下がりますが同じ形の酒がまだ見つかります。
逆に、軽快は条件に入れないほうがいい軸です。5本の軽快は0.411〜0.543で、中央値以下から上位10%までばらけています。ここは「似ているかどうか」ではなく「花陽浴のどこを変えたいか」を決める軸になります。
5本の性格を並べると、「亀泉=ほぼ同形/たかちよ=香りを保ったまま軽く/尾瀬の雪どけ=密度はそのままで旨味を足す/大嶺=飲み口を軽い側に振る/鳳凰美田=丸みと厚みを戻す」となります。花陽浴のどこを気に入っているか——突き抜けた香りか、辛さの出ない後口か、軽すぎない密度か——で選べば外しません。
同じ埼玉県の銘柄とは、ほとんど似ていない
花陽浴と同じ埼玉県の収録は23銘柄。このうちランキング入りはもう1本、83位の彩來(北西酒造)だけです。
その彩來との類似度は0.9698。華やか0.519(−0.146)・芳醇0.549(−0.025)と方向は同じですが、穏やか0.297が花陽浴の0.163より0.134高く、軽快0.515も0.104高い。香りの系統は近いが、口当たりの丸さと身軽さで別の座標にいるという違いです。県内で次に近いのは同じ北西酒造の文楽(0.9663)、鏡山(0.9464)、豊明(0.9337)。
一方で県内の下側は大きく離れます。神亀は0.7388、ひこ孫は0.6834で、ひこ孫の華やか0.086・芳醇0.714・重厚0.513は花陽浴のほぼ裏返し。同じ県だから味も近い、とはならないのが数値に出ています。ちなみに同じ南陽醸造の「藍の郷」は0.9144で、ドライ0.435(花陽浴0.119)と後口がはっきり辛口側。蔵が同じでも座標は別です。
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花陽浴の香りの高さで選びたい人はフルーティーな日本酒5選、ドライの低さ(辛さの出ない後口)が好みなら甘口日本酒入門、芳醇の厚みが気に入っているなら旨味とコクの芳醇な日本酒5選もどうぞ。今回の5本は産地が散らばっているので、群馬のフルーティーな日本酒5選・栃木のフルーティーな日本酒5選・山口のフルーティーな日本酒5選・新潟のフルーティーな日本酒5選も近い内容です。香りが高く冷やして飲みたいタイプという点では冷酒で美味しい日本酒5選も参考になります。
自分の好みがどの軸に寄っているかは、1分の日本酒診断で確かめられます。同じ花陽浴好きでも、香りに惹かれている人と甘やかな後口に惹かれている人ではおすすめの1本は変わります。まず自分の座標を知ることから始めてみてください。