岐阜の日本酒おすすめ5選 — 人気ランキング0本、なのに6軸すべての端を持つ37銘柄
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岐阜の日本酒を選ぶとき、最初に困るのは「手がかりがない」ことです。当サイトが利用しているさけのわデータの人気ランキング(全国100位まで)に、岐阜県の銘柄は1本も入っていません。
収録10銘柄以上の40都道府県のうち、ランキング不在はわずか6県(神奈川19・岐阜37・岡山24・愛媛17・大阪14・鳥取14銘柄)。岐阜はそのなかで最も収録数が多い県です。37銘柄あって人気順の目印がゼロ、という状態になっています。
ところが6軸フレーバーベクトル(華やか・芳醇・重厚・穏やか・ドライ・軽快)で中身を見ると、岐阜は地味な県ではありません。6軸すべてで、全国上位5%の銘柄と下位5%の銘柄を同時に抱えています。この記事では県の構造を数字で確かめたうえで、人気順の代わりに6軸それぞれの県内1位を使って5本を選びます。
データで見る岐阜の県平均
岐阜県37銘柄の平均値を、収録1346銘柄の全国平均と並べます。県順位は収録10銘柄以上の40都道府県で比べたものです。
| 軸 | 岐阜平均 | 全国平均 | 差 | 県順位 |
|---|---|---|---|---|
| 華やか | 0.330 | 0.339 | -0.008 | 25位 |
| 芳醇 | 0.550 | 0.535 | +0.015 | 11位 |
| 重厚 | 0.358 | 0.328 | +0.031 | 13位 |
| 穏やか | 0.379 | 0.393 | -0.014 | 28位 |
| ドライ | 0.296 | 0.310 | -0.014 | 22位 |
| 軽快 | 0.394 | 0.422 | -0.028 | 32位 |
上に出ているのは芳醇と重厚、下がっているのは軽快。差が最も大きいのは重厚の+0.031で、逆側の端は軽快の-0.028です。県平均ベクトルと全国平均ベクトルのユークリッド距離は0.0496で、40県中12番目に全国平均へ近い位置にあります。
上位25%の該当本数で見ても方向は同じです。芳醇の全国上位25%境界0.586を超えるのが14本=37.8%で40県中7位、重厚0.381超えが10本=27.0%(18位)。一方で軽快0.484超えは7本=18.9%(30位)、穏やか0.450超えも7本=18.9%(29位)。華やか0.414超えは12本=32.4%(12位)、ドライ0.367超えは10本=27.0%(15位)です。
全国中央値を上回る本数で数えると、重厚が22/37本、芳醇が20/37本に対し、軽快は13/37本。岐阜のフルーティーな日本酒5選で見た「香っても軽くない」という傾向は、県全体でも同じ向きに出ています。
平均の話は、ここまでしか使えない
ただ、この県平均を持って店に行っても役に立ちません。岐阜は中身がかなりばらけているからです。
軸ごとの標準偏差を全国と比べます。
| 軸 | 岐阜SD | 全国SD | ばらつき県順位 |
|---|---|---|---|
| 華やか | 0.130 | 0.113 | 6位 |
| 重厚 | 0.127 | 0.112 | 6位 |
| ドライ | 0.125 | 0.111 | 7位 |
| 軽快 | 0.108 | 0.104 | 16位 |
| 芳醇 | 0.077 | 0.076 | 12位 |
| 穏やか | 0.086 | 0.096 | 25位 |
華やか・重厚・ドライの3軸が40県で6位・6位・7位。銘柄間の距離でも同じで、37銘柄の全666ペアのコサイン類似度の平均は0.9241、これは40県で8番目に低い(=ばらけている)値です。
県内最小ペアは三千盛×達磨正宗の0.4314。この「県内でいちばん離れた2本」の値は、青森0.2934・新潟0.3632に次いで40県で3番目に小さいものでした。最大ペアは千代乃花×初緑(奥飛騨酒造)の0.9996です。
そして冒頭の話に戻ります。岐阜は6軸すべてで全国上位5%(上位68本)と下位5%の両方を持っています。
| 軸 | 県内最高(全国順位) | 県内最低(全国順位) |
|---|---|---|
| 華やか | 山車 0.604(15位) | 達磨正宗 0.041(1343位) |
| 芳醇 | 飛騨のどぶ 0.698(8位) | 三千盛 0.322(1327位) |
| 重厚 | 達磨正宗 0.814(3位) | 山車 0.155(1313位) |
| 穏やか | 無風 0.552(61位) | 三千盛 0.223(1299位) |
| ドライ | 三千盛 0.701(9位) | 達磨正宗 0.034(1341位) |
| 軽快 | 一滴千山 0.599(48位) | 達磨正宗 0.042(1345位) |
これができる県は秋田(45銘柄)・山形(63)・新潟(112)・岐阜(37)・兵庫(56)・福岡(38)の6県だけで、岐阜の37銘柄は6県で最少です。ちなみに芳醇の全国トップ10に2本(飛騨のどぶ8位・揖斐川9位)を送り込んでいるのは岐阜だけ。人気ランキングに0本の県が、旨味の全国上限には2本いる、という形になっています。
5本の選び方
人気順が使えないので、6軸それぞれの県内1位を候補にしました。上の表の左列、6本です。
このうち飛騨のどぶは芳醇1位と重厚2位を兼ねているので、旨味・厚みの方向はこの1本で足ります。残る重厚1位の達磨正宗は、重厚0.814(全国3位)に対してドライ0.034(1341位)・軽快0.042(1345位)という数値で、最初に試す1本としては数字が振れすぎています。5本からは外し、最後の章に回しました。
結果、5本は山車・飛騨のどぶ・無風・三千盛・一滴千山です。全10ペアの類似度は0.642〜0.964、平均0.840(最小は飛騨のどぶ×三千盛の0.6417、最大は山車×一滴千山の0.9637)。県平均ベクトルとの類似度も0.852〜0.977に散っていて、県の中央に寄った選定にはなっていません。
1. 山車(原田酒造場)|華やか0.604は全国15位、県内1位の香り
華やか0.604は全体の上位1%(全国15位)で県内37銘柄中1位。ここから先が極端です。
芳醇0.434は下位8%(全国1242位・県内36位)、重厚0.155は下位3%(1313位)で県内最下位、穏やか0.283も下位12%。残っているのはドライ0.332(上位37%・県内13位)と軽快0.482(上位26%・県内8位)です。
香りだけを全国トップ帯に置いて、旨味・厚み・丸さを全部落とした形。芳醇+重厚が県の持ち味である岐阜のなかでは、いちばん県らしくない1本でもあります(県平均ベクトルとの類似度0.9238は今回の5本で4番目)。よく冷やして単体で香りを追うか、味の濃くない料理と。香りの方向をもっと見るならフルーティーで華やかな日本酒5選、岐阜県内で比べるなら岐阜のフルーティーな日本酒5選もどうぞ。
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2. 飛騨のどぶ(渡辺酒造店)|芳醇0.698は全国8位、重厚0.581は41位
芳醇0.698は全国8位(上位1%)で県内1位、重厚0.581も全国41位(上位3%)で県内2位。旨味と厚みを同時に全国上位5%へ置いた1本です。
他は全部下げています。華やか0.124は下位3%(1301位・県内36位)、ドライ0.143は下位5%(1286位)、軽快0.210は下位3%(1308位)、穏やか0.310も下位18%。香らず、切れず、軽くもないという数値で、山車との類似度0.7041、三千盛との0.6417は今回の5本の最小値です。
軽快が下位3%・重厚が上位3%という並びは、温度を上げても崩れにくい側の数値です。燗酒に合う日本酒5選の考え方で温度を振ってみると形が掴めます。味の濃い煮物や、脂と旨味のある料理に向く側。軸そのものから全国で探すなら旨味とコクの芳醇な日本酒5選とどっしり飲みごたえのある日本酒5選に選定があります。
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3. 無風(玉泉堂酒造)|穏やか0.552は全国61位、県内1位の丸さ
穏やか0.552は全体の上位5%(全国61位)で県内1位。岐阜の穏やか県平均は40県中28位と低い側なので、県の傾向から外れた位置にある1本です。
面白いのは旨味を持っていないことです。芳醇0.447は下位10%(全国1213位・県内35位)で、県内で3番目に芳醇が低い値。重厚0.381(上位25%・県内11位)で厚みは残し、ドライ0.336(上位36%)と軽快0.403(上位59%)は中位。華やか0.275も上位71%で、香りは立てません。
旨味を乗せずに丸さと厚みだけを置いた形で、県平均ベクトルとの類似度0.9769は5本で2番目に高い——つまり極端な銘柄ではありません。常温から少し温度を上げたあたりが分かりやすい数値です。丸さを軸に全国から探すならまろやかで穏やかな日本酒5選へ。
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4. 三千盛(三千盛)|ドライ0.701は全国9位、県内1位のキレ
ドライ0.701は全体の上位1%(全国9位)で県内1位。岐阜37銘柄のドライの幅は0.034〜0.701で、その上端がこの1本です。
代わりに4軸を全国最下層まで落としています。芳醇0.322は下位2%(全国1327位)で県内最下位、穏やか0.223も下位4%(1299位)で県内最下位、重厚0.190は下位6%(1261位・県内36位)、華やか0.253は上位77%。残るのは軽快0.505(上位19%・県内6位)だけです。
キレと軽さの2軸だけを残して、旨味・厚み・丸さ・香りを全部引いた形。達磨正宗との類似度0.4314は666ペアの最小値で、飛騨のどぶとの0.6417も今回の5本の最小値。この1本と飛騨のどぶが岐阜の両極と考えると、県の幅が掴みやすくなります。脂や塩気のあるものを流す飲み方に向く数値で、全国から探す場合は辛口日本酒入門に選定があります。
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5. 一滴千山(武内酒造)|軽快0.599は全国48位、県内1位の軽さ
軽快0.599は全体の上位4%(全国48位)で県内1位。軽快の県平均が40県中32位という県で、ここだけ全国上位5%に出ています。
残りは華やか0.379(上位37%・県内14位)とドライ0.359(上位27%・県内11位)が中位、芳醇0.461は下位13%(全国1165位・県内33位)、重厚0.226は下位17%(県内33位)、穏やか0.325も上位78%。軽さを上げて、旨味と厚みを引いた形です。
山車との類似度0.9637は5本の最大値で、香りの高さを除けば形は近い。逆に飛騨のどぶとは0.7774、三千盛とは0.9137です。冷やして食事の合間に挟む使い方に向く数値で、軽快で飲み疲れしない日本酒5選や冷酒で美味しい日本酒5選の上位帯と同じ考え方で選べます。
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もう少し掘るなら
5本から外した重厚1位が達磨正宗(白木恒助商店)です。重厚0.814は全国3位で、上にいるのはカワセミの旅(新潟0.902)とIslander(0.852)の2本だけ。同時にドライ0.034(1341位)・軽快0.042(1345位)・華やか0.041(1343位)という3軸が全国最下層にあります。県平均ベクトルとの類似度0.7373は37銘柄で最も低い値で、岐阜でいちばん県平均から遠い1本。厚みの極を試したいときの選択肢です。同じ蔵の淡墨桜が華やか0.586(全国21位・県内2位)で正反対の位置にいるのも、この県らしいところ。
県の中央を1本で押さえたいなら蓬莱(渡辺酒造店)です。県平均ベクトルとの類似度0.9991は37銘柄中1位で、6軸すべてが県内13〜23位の帯。次が白真弓(蒲酒造場)の0.9955、玉柏の0.9941、深山菊(舩坂酒造店)の0.9912です。
旨味をもう1本足すなら揖斐川(杉原酒造)の芳醇0.693(全国9位・県内2位)。重厚0.513も全国94位で、飛騨のどぶとの類似度0.9890はほぼ同じ形です。香りも一緒に欲しい場合は射美(杉原酒造)が芳醇0.669(全国16位・県内3位)に華やか0.402(上位28%)・重厚0.372(上位27%)を合わせていて、飛騨のどぶとの類似度は0.9275。
厚みの方向では白川郷(三輪酒造)の重厚0.579(全国44位)、若葉の0.551(60位)、竹雀(大塚酒造)の0.512(96位)、千代菊の0.480(127位)。白川郷と若葉は穏やかも上位18%・12%で、厚みと丸さが同時に乗る側です。
キレなら長良川(小町酒造)のドライ0.522(全国53位・県内2位)、久寿玉(平瀬酒造店)の0.459(112位)、房島屋(所酒造)の0.427(159位)。三千盛と違って長良川は穏やか0.440(上位29%)、久寿玉は芳醇0.517を残しているので、キレても削ぎ落としすぎない位置にいます。房島屋は軽快0.538(全国155位・県内2位)も持っていて、一滴千山との類似度0.9861。
丸さは美濃菊(玉泉堂酒造)の穏やか0.540(全国72位・県内2位)と醴泉(玉泉堂酒造)の0.536(76位・県内3位)。醴泉は無風との類似度0.9963でほぼ同形、美濃菊は芳醇0.588・重厚0.401を足して無風にない旨味を持っています。
岐阜の酒の選び方
- 人気順は使えない:37銘柄で全国100位以内がゼロ。ランキング不在6県のなかで最多の収録数
- 県平均は旨味と厚み寄り:芳醇は40県中11位、重厚13位、軽快32位。全国中央値を上回るのは重厚22/37本・芳醇20/37本に対し軽快13/37本
- ただし平均は当てにならない:華やか・重厚・ドライのばらつきが40県で6位・6位・7位。666ペアの平均類似度0.9241は8番目にばらけている側
- 6方向すべてに端がある:6軸すべてで全国上位5%と下位5%を持つ6県のひとつで、37銘柄はその6県で最少
つまり岐阜は、県名でも知名度でも味が決まらないので、先に方向を決めてから銘柄を選ぶ県です。香りなら山車、旨味と厚みなら飛騨のどぶ、丸さなら無風、キレなら三千盛、軽さなら一滴千山。この5本は類似度0.642〜0.964に散っていて、県の幅はだいたい覆えます。真ん中の基準点を1本置きたいなら、5本の枠外になりますが蓬莱を。
他県と比べたい場合、岐阜と対照的なのは福岡(6軸すべての県平均が全国平均±0.02で、人気2銘柄の形がほぼ同じ)です。本数で押す県なら新潟、ばらつきの大きい県なら山形・秋田が、それぞれ岐阜と同じ「両端を持つ6県」の仲間です。
選び方の順序そのものに迷う場合は日本酒の選び方入門、自分がどの軸に寄っているか分からないなら1分の日本酒診断で確かめてから選ぶと、この県では特に外しにくくなります。