兵庫のフルーティーな日本酒5選 — 該当率は26県最下位、でも中身は県平均の真逆

※ 本記事にはアフィリエイト広告(PR)のリンクを含みます

兵庫県はさけのわデータに56銘柄が収録されています。新潟112・長野93・福島77・山形63に次ぐ全国5位の規模です。

ところが華やか値が全国上位25%に入る銘柄は10本しかなく、該当率17.9%は該当5本以上の26県で最下位。しかもこの10本を6軸で並べると、芳醇8位・重厚7位という県平均の「厚い形」とは真逆の数値が出ます。

収録数5位の県で、フルーティーの棚だけが県の性格から外れている——その10本を数値で分解します。

兵庫のフルーティーは56銘柄中10本

当サイトが利用しているさけのわデータの収録1346銘柄で、華やか値の上位25%の境界は0.414。これを満たす銘柄は全国で339本(25.2%)、兵庫県は**56銘柄中10本=17.9%**です。

この該当率は該当5本以上の26県で最下位。しかも**新潟(20/112)とは小数まで同じ17.857%**で、規模の大きい2県がそろって最下位に並びます。全国平均25.2%を7.3ポイント下回り、1位の長崎60.0%とは42ポイント離れています。

該当数10本自体は26県14位で中位です。つまり兵庫は「フルーティーが少ない県」ではなく、フルーティー以外の銘柄が多すぎる県という見え方になります。県全体56本の華やか平均0.303は、収録10銘柄以上の40県で31位です。

惜しいのは但馬で、華やか0.398。境界を0.016下回ります。次が白鶴0.392、雪彦山0.389で、この3本が入れば該当率は23.2%まで上がる計算です。

データで見る兵庫のフルーティー10本

10本の平均値を、全国のフルーティー該当339本、兵庫56銘柄全体、全国1346銘柄と並べます。

軸 兵庫10本 全国フルーティー339本 兵庫56本 全国1346本
華やか 0.481 0.479 0.303 0.339
芳醇 0.533 0.523 0.559 0.535
重厚 0.220 0.236 0.375 0.328
穏やか 0.254 0.311 0.386 0.393
ドライ 0.249 0.253 0.297 0.310
軽快 0.535 0.498 0.388 0.422

26県で並べると、軽快0.535は6位、芳醇0.533は8位。いっぽう穏やか0.254は23位——丸さが下から4番目です(下にいるのは神奈川0.251・千葉0.242・高知0.223)。華やか0.481は13位、ドライ0.249は14位、重厚0.220は16位で、この3軸は中位です。

注目したいのは右の2列です。県全体56本では重厚0.375が40県7位・芳醇0.559が8位・軽快0.388が33位。厚くて重く、軽さがない県です。ところが華やか上位25%の10本だけを抜くと、重厚は0.375→0.220に落ち、軽快は0.388→0.535に跳ね上がります。差は重厚-0.155、軽快+0.147。

兵庫のフルーティー帯は、県平均を薄めた形ではなく、県平均とは別の方向を向いた10本です。収録数5位の県でこの10本が全体の17.9%しかないのは、県の主流が逆側にあるからだと数値では読めます。

10本の共通項は「丸くない」と「重くない」

軸ごとに、全国の平均・上位25%・下位25%に何本入るかを数えます(カッコ内は全国フルーティー339本での比率)。

  • 穏やかが全国下位25%(0.335以下):10本=100%(同61%)
  • 穏やかが全国平均(0.393)未満:10本=100%(同88%)
  • 重厚が全国平均(0.328)未満:10本=100%(同93%)
  • 重厚が下位25%(0.253以下):7本=70%(同63%)
  • 軽快が全国平均(0.422)超:9本=90%(同83%)
  • 軽快が上位25%(0.484以上):7本=70%(同55%)
  • ドライが上位25%(0.367以上):0本(同7%)

穏やかが全10本とも全国下位25%に入る県は、26県で3県だけ(千葉7本・兵庫10本・高知8本)。該当10本以上の県では兵庫だけです。穏やかのレンジは0.179〜0.323で、上限の0.323すら全国では下から21%の位置。兵庫のフルーティー帯に「丸い1本」は存在しません。

重厚も全10本が全国平均未満で、こちらは26県中12県が該当するので兵庫だけの特徴ではありません。ただし重厚のレンジ0.255(0.069〜0.324)は26県6位と広く、「重くない」の中身は銘柄によってかなり違います。

いっぽうドライ上位25%は0本。10本の平均0.249も26県14位で、キレの方向に振り切った銘柄がいません。軽いのは軽快のほうであって、ドライのほうではないという区別が、この県では効きます。

分かれるのは芳醇です。レンジは**0.461〜0.653(幅0.192)**で、上位25%(0.586以上)が2本、下位25%(0.497以下)が3本。平均0.533は26県8位と高めですが、10本の中では旨味の有無がはっきり二分されます。

散らばりの正体は、外れ値2本

10本の全45ペアのコサイン類似度は平均0.9745。26県では13位、フルーティー該当が10本以上ある14県では9位で、やや散らばった側です。

内訳を見ると、0.99以上は7ペア、0.98以上は18ペア。最大は播州一献×仙介の0.9987、最小は澪×KONISHIの0.9351です。0.95を下回る3ペアは、すべて澪かFu.が片側にいます(澪×KONISHI 0.9351、Fu.×澪 0.9421、松竹梅 白壁蔵×Fu. 0.9423)。

10本の重心(平均ベクトル)は0.481 / 0.533 / 0.220 / 0.254 / 0.249 / 0.535。重心との類似度は仙介0.9955、播州一献0.9952、琥泉0.9944の順に近く、遠いのは澪0.9747とFu.0.9755の2本。3番目に遠い松竹梅 白壁蔵でも0.9875なので、8本は重心から0.987以上の範囲に収まります。

実際に澪とFu.を外した8本の28ペアを計算すると、平均0.9829、最小0.9653(松竹梅 白壁蔵×神池)で、0.95を割るペアはゼロ。この0.9829を14県の並びに入れると岐阜0.9813を上回る2位相当の高さです。兵庫は「散らばった県」ではなく、8本のまとまりと、方向の違う2本でできている県です。

蔵の偏りは小さめです。10本が属する蔵は8つで、2本あるのは泉酒造(琥泉・仙介)と宝酒造 白壁蔵(澪・松竹梅 白壁蔵)。最大蔵シェア20.0%は26県16位です。

なお人気ランキング(全国100位まで)に入るのは播州一献(80位)の1本だけで、これは兵庫56銘柄全体でも唯一のランク入りです。26県でランク入りが1本以下なのは5県(神奈川・岐阜・岡山の0本と、茨城・兵庫の1本)しかありません。

5本の選び方

以下の5本は、10本を6軸ベクトルで比べ、蔵を重複させず、全10ペアの最大類似度が最も小さくなる組み合わせを選びました。

8蔵から5蔵を採る146通りを総当たりすると、最大ペアが最も低いのは0.9855で、該当する組み合わせは2通り。どちらもランキング入りの播州一献(80位)を含むので、ここでも「ランク入りを入れるコストはゼロ」でした。2通りの違いはFu.か神池かだけで、**10ペア平均の低いFu.側(0.9655)**を採りました。

全10ペアは0.9351〜0.9855、平均0.9655です。並び順は華やか値の高い順です。

1. 来楽(茨木酒造)|華やかが全国18位、旨味は10本の最下位

華やか**0.599は全国1346銘柄中18位(上位1%)**で、10本の1位。兵庫の香りの上限です。

ただし残り5軸は、香りと引き換えに削った形に見えます。芳醇0.461は10本の最下位(全国で下から177番目/下位13%)、穏やか0.222は下から47番目(下位3%)、重厚0.206も下位10%。残るのは**軽快0.536(全国161位/上位12%)**とドライ0.222で、どちらも10本の中位です。

つまり香りを全国1%に置いて、旨味・厚み・丸さを全部下位に落とした形。10本で最も近いのは琥泉の0.9820、次が播州一献の0.9814で、最も遠いのはFu.の0.9675。重心との類似度0.9894は10本中6位です。香りが主役の数値なので、よく冷やして、味の濃くない前菜から始める方向が素直です。

来楽の味わいチャートを見る / 楽天で探す(PR) / Amazonで探す(PR)

2. Fu.(富久錦)|香りと旨味の両取り、10本で唯一「軽くない」

華やか**0.530は全国50位(上位4%)で10本中2位。そのうえで芳醇0.621は全国134位(上位10%)**で10本中2位です。

この2軸を同時に上げている一方で、軽快0.408は10本の最下位——10本で唯一、全国平均0.422を下回ります。さらに**穏やか0.181は全国で下から28番目(下位2%)**で10本9位、ドライ0.171も下位8%。重厚0.324は10本の1位(全国600位/上位45%)で、10本平均0.220を0.104上回ります。

香りと旨味と厚みを上に取り、軽さと丸さとキレを引いた形。前章の「軽くて丸くない」という兵庫の多数派からは2軸ずれています。重心との類似度0.9755は10本中9位で、10本で近いのは神池の0.9856だけ。澪との0.9421と松竹梅 白壁蔵との0.9423は、45ペアで下から2位・3位です。温度を下げすぎない8〜13度あたりで旨味が出やすい数値です。

Fu.の味わいチャートを見る / 楽天で探す(PR) / Amazonで探す(PR)

3. 澪(宝酒造 白壁蔵)|重厚が全国で下から4番目、10本の最極端

華やか0.513は全国79位(上位6%)で10本中3位。ここから先の数値が、この記事でいちばん極端です。

重厚0.069は全国1346銘柄中で下から4番目(下位1%未満)。10本平均0.220を0.151下回り、当然10本の最下位です。**穏やか0.179も下から26番目(下位2%)、ドライ0.132も下から51番目(下位4%)で、どちらも10本最下位。そのかわり軽快0.617は全国33位(上位2%)**で10本2位、芳醇0.549は10本3位です。

厚み・丸さ・キレを全部抜いて、香りと軽さだけを上位に置いた形。重心との類似度0.9747は10本中最下位で、KONISHIとの0.9351は45ペアの最小値。前章の「0.95未満3ペア」は、この1本とFu.が作っています。数値どおりに、しっかり冷やして単体で飲むか、油や塩気のある料理を流す側で使う形です。

澪の味わいチャートを見る / 楽天で探す(PR) / Amazonで探す(PR)

4. KONISHI(小西酒造)|10本でいちばん「振り切っていない」1本

華やか0.470は全国155位(上位12%)で10本中4位。6軸は0.470 / 0.533 / 0.315 / 0.307 / 0.295 / 0.462です。

特徴は、穏やかを除く5軸が全国上位12〜55%に収まること。芳醇0.533は上位55%、重厚0.315は上位49%、ドライ0.295は上位53%、軽快0.462は上位34%です。10本の中では重厚が2位、穏やか0.307も2位ですが、その穏やか0.307でさえ全国では下位17%。前章の「丸い1本はない」が、県内2位の銘柄でもこうなります。丸さが下位17%でも県内2位になるのが、この10本の性格をよく表しています。

香りだけを上位12%に出して、残りを全部真ん中に置いた形。重心との類似度0.9902は10本5位で、近いのは仙介0.9917・盛典0.9882。逆に澪との0.9351は45ペア最小で、同じ県の「極端な1本」とは正反対の位置にいます。温度に対して崩れにくい数値で、8〜14度あたりの幅で扱えます。

KONISHIの味わいチャートを見る / 楽天で探す(PR) / Amazonで探す(PR)

5. 播州一献(山陽盃酒造)|全国80位、兵庫56銘柄で唯一のランキング入り

華やか0.456は全国192位(上位14%)で10本中8位。人気ランキングは全国80位で、兵庫56銘柄で唯一のランク入りです。

6軸は0.456 / 0.501 / 0.187 / 0.294 / 0.315 / 0.566。**軽快0.566は全国91位(上位7%)で10本4位、ドライ0.315は10本4位、穏やか0.294も4位。いっぽう重厚0.187は全国で下から78番目(下位6%)**で10本9位、芳醇0.501は10本7位(全国上位71%)です。

香りは控えめ、厚みと旨味は下に置いて、軽さとキレをそろえて上に取る——10本の平均像をそのまま軽快寄りにずらした形です。重心との類似度0.9952は10本2位。仙介との0.9987は45ペアの最大値、琥泉との0.9986が2位で、この3本はほぼ同じ形をしています。兵庫のフルーティーで迷ったらまずここ、という位置の1本です。よく冷やして幅広く合わせられる数値で、6〜12度あたりが扱いやすい範囲です。

播州一献の味わいチャートを見る / 楽天で探す(PR) / Amazonで探す(PR)

残る5本も見ておく

10本のうち、上の5本以外は次の5本です。華やか値の高い順に並べます(銘柄名・蔵名はさけのわデータの表記のままです)。

銘柄 華やか 芳醇 重厚 穏やか ドライ 軽快
松竹梅 白壁蔵(宝酒造 白壁蔵) 0.460 0.471 0.188 0.323 0.173 0.630
神池(鴨庄酒造) 0.460 0.653 0.210 0.259 0.210 0.456
琥泉(泉酒造) 0.457 0.488 0.215 0.257 0.333 0.574
仙介(泉酒造) 0.438 0.521 0.224 0.300 0.319 0.543
盛典(岡田本家) 0.425 0.533 0.261 0.218 0.324 0.561

補足します。松竹梅 白壁蔵の軽快0.630は10本の最高値(全国28位/上位2%)で、兵庫の軽さの上限です。穏やか0.323も10本の1位ですが、これでも全国では下位21%。かわりに芳醇0.471は下位16%、ドライ0.173は下位8%、重厚0.188は下位6%まで落ちます。「軽さだけを全国2%に置いて、他は全部下に置く」タイプです。

神池の芳醇0.653は10本の最高値(全国32位/上位2%)。10本で旨味を上位25%に置いているのは神池とFu.の2本だけで、神池はそのうえ軽快0.456が10本9位。旨味を主役にしたいならここです。Fu.との0.9856が10本で最も近い組み合わせです。

琥泉のドライ0.333は10本の1位(全国498位/上位37%)。それでも全国上位25%の境界0.367には届かないので、「10本でいちばんキレがあっても全国では中位」という前章の話がそのまま出ます。軽快0.574は全国71位(上位5%)で10本3位、重心との0.9944は10本3位です。

仙介は10本の重心に最も近い1本(0.9955)。兵庫のフルーティーの標準形を1本で確かめたいならここで、播州一献との0.9987は45ペアの最大値です。華やか0.438は10本9位と低めですが、残る5軸はすべて10本の3〜6位に収まります。

盛典の華やか0.425は、境界0.414を0.011上回った10本の最下位。かわりにドライ0.324は10本2位、重厚0.261は3位、軽快0.561は全国103位(上位8%)。いっぽう**穏やか0.218は全国で下から44番目(下位3%)**で10本8位。香りよりもキレと軽さで選ぶ側の数値です。

兵庫でフルーティーを選ぶときの物差し

  • 該当率は26県最下位:56銘柄中10本=17.9%で、新潟(20/112)とぴったり同率。収録数は全国5位なのに該当数は26県14位
  • 県平均とは逆向き:県全体56本は重厚7位・芳醇8位・軽快33位。10本に絞ると重厚は0.375→0.220、軽快は0.388→0.535に動く
  • 丸い1本はない:全10本が穏やかで全国下位25%。これは26県で千葉・兵庫・高知の3県だけ。上限の0.323でも全国下位21%
  • 軽さはそろうが、キレはそろわない:軽快は9本が全国平均超・7本が上位25%。いっぽうドライ上位25%は0本
  • 分かれるのは芳醇と重厚:芳醇0.461〜0.653(上位25%が2本、下位25%が3本)、重厚レンジ0.255は26県6位
  • 散らばりは2本だけ:45ペア平均0.9745は14県9位だが、0.95未満の3ペアは全部澪かFu.絡み。外した8本の28ペアは0.9829で14県2位相当
  • ランク入りは1本:播州一献(80位)が兵庫56銘柄で唯一

つまり兵庫の棚では、「軽いか」「丸すぎないか」で絞っても10本がほぼ残ります。実際に分かれるのは芳醇と重厚の2軸です。旨味を取るなら神池・Fu.、軽さを最大にするなら松竹梅 白壁蔵・澪、キレを足すなら琥泉・盛典・仙介、香りを最大にするなら来楽、標準形を1本で見るなら仙介・播州一献、全部を真ん中に置きたいならKONISHI、という切り方がいちばん素直になります。

兵庫の県全体の構造(厚い県平均と、そこから外れたランク入り1本)は兵庫の日本酒おすすめにまとめました。香りより旨味そのものを軸に選ぶなら旨味とコクの芳醇な日本酒、軽さを最優先するなら軽快で飲み疲れしない日本酒、逆に厚みが欲しくなったときはどっしり飲みごたえのある日本酒が参考になります。フルーティー全般の選び方はフルーティーな日本酒の選び方、冷やして飲む方向は冷酒で美味しい日本酒にあります。

他県と比べたい場合、10本の重心が兵庫といちばん近いのは栃木(0.9987)、次が群馬(0.9984)と新潟(0.9977)。ただし形のそろい方は対照的で、栃木は該当10本以上の14県で最も散らばる県です。まとまりなら福島・岐阜、丸さなら京都・山形、香りの上限なら秋田、該当率なら山口、軽さの方向なら三重・茨城が、それぞれ兵庫とは違う形をしています。

自分がどの軸に寄っているかは、1分の日本酒診断で確かめられます。